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2025/2/12
「キネマ旬報」2月号は発売後SOLD OUTしました。特集は「2025年、映画の旅」(70P超!公開待機作ラインナップ特集)。表紙・巻頭インタビューは、派手に痛快なコンゲームを繰り広げる「劇場版 トリリオンゲーム」主演の目黒蓮。
2025/02/05
「キネマ旬報2月号増刊第98回キネマ旬報ベスト・テン発表号」発売中! 2024年度ベスト・テンの全順位と講評を誌面にてぜひご覧ください。
2024/07/11
1919年(大正8年)7月11日「キネマ旬報」は映画好きの学生たちによって誕生しました。雑誌の100年の歴史を俯瞰した記念ムック「キネマ旬報の100年」発売中です!
2024/02/05
「キネマ旬報2月増刊第97回キネマ旬報ベスト・テン発表号」発売中! 2023年度ベスト・テンの全順位と講評を誌面にてぜひご覧ください。
2024/02/01
2023年 第97回キネマ旬報ベスト・テン第1位の作品と個人賞を「キネマ旬報WEB」にて発表いたしました。
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セプテンバー5
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自分は以前に、この事件を描いた「ブラック・セプテンバー」というドキュメンタリー映画を観たことがある。様々な証言や記録映像で綴った極めて硬派な作りに見応えを感じたが、そこにドイツ警察の突入を生中継ですっぱ抜いたテレビ局が登場してきた。今考えると、これはABCのことだったのだろう。 本作は、そのABCのスポーツ中継クルーの視点から事件当日を描いた劇映画である。 現場にカメラを持ち込めるのは彼等だけで、ほとんど独占中継のような形で映像を発信することになるのだが、いざ始まってみると様々な問題に直面し、スタッフは混乱をきたしていく。映画はその様子を緊張感あふれるドキュメンタリー・タッチで捉えている。 登場してくるのは、ディレクターやプロデューサー、エンジニア、通訳の女性、カメラマンといったテレビ関係者である。夫々に神経をすり減らしながら番組作りに邁進する姿には、真実を伝えようとするジャーナリスト魂のようなものが感じられた。 ただ、時代性というのもあるのだろう。今では考えられないような事実も幾つか見つかる。 例えば、カメラマンを偽の選手に仕立てて選手村に潜入させたり、視聴率競争に勝つために他局に放送枠の譲渡を交渉したり、先述のとおり犯人が見ているかもしれないのに警察の突入作戦を堂々と生中継したり等。彼らの取材はかなり強行でもある。しかも彼らはスポーツ中継部のクルーなので、本来であれば政治事件については門外漢である。そんな彼らに生中継を託すというのはABCの上層部も随分とドラスティックなことをしたなと思う。あらゆる意味で、当時のマスコミの浅はかさというのも実感した。 また、人質の写真を引き伸ばしたり、画面にテロップを入れたり、今ならデジタルでいくらでも簡単に処理できることが、全てアナログでやっていたというのも面白い発見だった。選手村の様子を撮影したフィルムを地道に運ぶというのもアナログ的なやり方で時代を感じる。 事件そのものはもちろんのこと、こうしたテレビスタッフの裏側の事情が垣間見れるのも本作の面白い所である。 ちなみに、コーヒーのクダリや、撮影クルーが選手に間違われてインタビューを受けたり、所々に配されるユーモアが緊迫感が持続する作風にホッと一息つかせるような効果を上手く創り出している。硬軟織り交ぜた作りは中々堂に入っていると思った。 いよいよ事件が終息へ向かう終盤は、映画の緊張もピークに達していく。しかし、ラストはクルーたちの努力を嘲笑うかのような皮肉的な結末を迎える。実にやるせない気持ちにさせられるが、同時にマスコミの”在り方”みたいなものが問われているような気がした。情報は裏を取れというのは報道の鉄則だと思うが、それを怠った結果がこれである。 観る前は、本事件を現代に製作した意図が今一つ自分には分からなかったのだが、なるほど。このラストを見ると製作サイドの狙いはここにあったのか…と気付かされる。
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