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新章スタートということだが、例によってシリーズ過去作は一本も観たことがなかった。なのでわざわざBOXを買いました。月並みな感想で申し訳ないが、動体視力がついていかないほどの超高速モンタージュに大興奮。でも、ここまでめまぐるしいと、生身でやっててもCGでももはや区別つかないんじゃないの? 確信犯的な悪のCIA長官をクールに演じ切るトミー・リー・ジョーンズの「顔」がシブい。あとはやっぱり、アリシア・ヴィキャンデルが可愛過ぎる!ということでしょうか笑
名編集者パーキンズを演じるコリン・ファースと、夭折した天才作家トマス・ウルフに扮したジュード・ロウ、更にはウルフの年上の愛人役のニコール・キッドマンも加わった、さながら演技合戦のごとき様相。史実をもとにドラマチックに脚色してあるのだが、イギリス映画らしい、しっとりと落ち着いたトーンが良い。室内でも帽子を冠ったままのファース。どこかで必ず取るだろうと予想してたが、心憎い演出だ。ウルフの邦訳はかなり昔から絶版になっているが、この機会に再刊されないかな。
四人の若者たちが、旅行先で思いがけずある事件に遭遇し、苦悩と逡巡と不安の淵に落ち込んでいく。全篇、非常にシリアスなタッチで進み、いったい何が起こったのかという真相と、それぞれの内面の葛藤を、丹念にじっくりと描いていく。中盤からほぼずっと張り詰めた会話場面が続くのだが、そのせいでかえって映画にメリハリがなくなっているように思えた。英語題名は「ONE WAY TRIP」。内容に合ってると思うのだが、どうして「グローリーデイ」なんだろう。しかし救いのない話だ。
現在絶好調と言ってよい黒沢清監督、初の「外国映画」。空虚な工事現場、奇妙な構造の屋敷、幽霊たち、狂気にも近い妄執などなど、過去の黒沢作品を想起させるさまざま要素が全篇にちりばめられ、さながら集大成の趣き。被写体の長時間の拘束を必要とするダゲレオタイプというアイデア自体がユニークだが、実は「拘束」されているのはモデルの女性たちではない。男たちの心である。タハール・ラヒムが素晴らしい。まさかクロキヨ映画のラストシーンで泣かされるとは! 文句なしの傑作。
記憶を取り戻したボーンにどんな存在意義があるのかと期待したが、よくわからなかった。アリシア・ヴィキャンデルもなんだかステレオタイプなエリート女性のキャラクターの域を出ておらず不完全燃焼な印象。解き明かすべき謎がなくなったなら、完全に逃げることそのものが目的になってしまってもよかったのに、前後の辻褄がかえって混乱を招く。マット・デイモンが歳をとった分、ボーンにも加齢とともにある物語を課すればシリーズとして新作を作る意味も増したのでは。
クラシカルな色調や調度を目指したであろう映像のルックが、なんとなくオールドライクな文学的イメージとしてしか機能していないように、書く行為、編集する行為、それに携わる人々の生き様がすべてただのポーズに見える。執筆という想像を絶する孤独な作業と向き合う作家の内面に触れずしてエキセントリックな奇人は生まれないし、編集=削除ではない。二人の関係性もその周りの女性や家族の描き方も記号に過ぎず、男性的なロマンに溺れたナルシシズムばかりが後に残る。
今春ソウルで観たとき、四人組の三人を演じたジス、リュ・ジュンヨル、キム・ヒチャンはちょうどブレイク中で、公開のタイミングと内容的に次世代若手俳優の登竜門のような様相を帯びていた本作。しかし彼らに負けない渋さで光っていたのは神話のドンワンだった。それと対照的だったのがキム・ジュンミョンことEXOのスホ。名実ともにまさに今アジア最高峰の人気を誇るアイドルにしか体現できないであろう笑顔は偶像の極みだ。あんなに眩しくて悲しい遺影は見たことがない。
フランスで撮られたことを含めて「顔のない眼」(59)のような世界観を彷彿とさせるが、どこで撮ろうとも廃墟や工事現場、ゴミ置場などその光景には黒沢印が刻まれている。そこに生きるのはほとんど常軌を逸した男たち。死んだ妻の気配にとらわれた写真家と、生きているのかどうかもわからない娘を思い続ける青年。恐怖というより滑稽ですらある二人の言動からうかがえる黒沢監督の恋愛観は巨匠のそれとは信じられないほどピュアで可愛らしく、若者には到底真似できない大人の純愛映画だ。
監督がポール・グリーングラスに代わった2作目からシリーズのスタイルが定着したようだ。手持ちキャメラの移動撮影などの短いショットを積み重ね、音楽に乗せてハイ・スピードでテンポ良く観せる技術はこの監督の独壇場だ。記憶喪失の暗殺者をCIAが世界中追いかけ回す単純なアクション・ドラマを描くには、内面描写より効果的だ。十年以上たってもマット・デイモンの肉体は老いを見せない。T・L・ジョーンズとA・ヴィキャンデルのキャスティングは次回作への布石か?
M・パーキンスはヘミングウェイ、フィッツジェラルドなど失われた世代の作家たちを世に送り出した著名な編集者。滝田樗陰か菊池寬といったところか。黒子の編集者に焦点を合わせた企画が秀逸。文学と作家に対する愛情と献身に溢れた編集者と奔放不羈な作家トマス・ウルフがアメリカ文学の傑作を誕生させる裏話が興味深い。C・ファースとジュード・ロウが適役を快演。現在ウルフの著書は『天使よ故郷を見よ』をはじめ新刊で入手できるものは一冊もない。これを機に再刊新刊を望む。
4人の高校の親友たちが一人の入隊を前に旅に出て、事件に巻き込まれ殺人容疑をかけられる。祖母と暮らす貧しい少年、教育ママと暮らす少年、父親のコネで将来が決まっている者、軍隊へ入る者、さまざまな階層の出身者だ。韓国社会の格差や官僚組織などの背景がていねいに描かれていて、親友同士が次第にお互いを裏切るサバイバル・ゲームになっていく展開は面白いのだが、語り口にテンポと切れ味が欠けるので、青春の哀感、グループの離散による悲しみが今ひとつ迫ってこない。
最古の写真、銀板写真には死の匂いがするという。被写体を長時間拘束するため作品にサディズム、マゾヒズムの影が映るのだろうか。映画の原風景を感じる。銀板写真家の助手の青年が経験する異常な世界の死と愛の物語だ。猟奇的世界を描きながらも、確実な技術に基づいた映像は格調と趣味の良さを失なわない。黒沢清のすべてが込められた映画のような気がした。先日の映画「ヒッチコック/トリュフォー」では黒沢の喋りが少なく不満を覚えたが、それを補う回答のようにも思えた。