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ひどく感じの悪い人ばかりが出てくるので、中心的な登場人物のなかで3人ほどしかいない「まともにものを考えようとする、好感の持てる人間」(それは非常に年若い人物だったりする)が、たいへん愛おしくなる。どう転んでも後味の悪い内容だし、感じの悪い人間の描き方があまりに型どおりすぎて鼻につくのも事実だが、キャメラの動きと人物の動きが一体となって一本の急流を生み出し、観る者をぐいぐい惹きつける(ただし、溶暗の多さはこの急流を停滞させるものであるから疑問)。
もちろん大がかりなアクションシーンはあるし、デザインもスケールアップしているけれど、元々のTVシリーズ(『宇宙大作戦』と呼ぶべきか!)の面白さはこれだったのだと思い出させられて個人的に狂喜。おなじみのキャラクターたちが魅力を発揮、ユーモアが全篇にみなぎっているのも最高で、ろくな兵器もなしに敵の大編隊に立ち向かうところのアイディアは、見せ方ともどもめっちゃ笑った。L・ニモイ追悼の意をこめたシーンもあり、A・イェルチンの明るさにもあらためてしんみり。
この物語ならこれを語らなければいけないだろう、これを見せなければいけないだろうというものが全部きちんと押さえられていて、あまり強い刺激のない、安心して見ていられる展開と演出。理数系エリート役での出演作の日本公開が続くジェレミー・アイアンズにあって、本作でのニュアンス豊かな演技は出色。個人的には元々興味のあった題材で、ケンブリッジでさえ戦争が始まるとこんな抑圧的な雰囲気になるのかと愕然とする。意外に出番の多いバートランド・ラッセルの洒脱さが楽しい。
韓国映画には脚本にこりすぎて話がわかりにくくなってるものが時々あるけれど、この映画はそういうレベルではなくて、話はシンプルなのに、つなぎ間違いを疑いたくなるくらい場面が(ゴダール的にではなく、もっと単純な意味で)飛びまくる。「若い人はこういうのが好きなんでしょ?」と言いたげなシーンばかり並ぶのも何だかなあ。舞台下の仕掛けを前半で印象づけてくれていたら、クライマックスはもっと面白かったのに。脇役、特に王女を守る正使と、主人公の盲目の姉に魅力あり。
ヴィスコンティの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」のようにこの映画もアメリカの小説をイタリアの風土に移し変えて、不自然さがない。まず脚本の構成がみごとで、貧富の格差、学歴問題、経済至上主義で揺らぐ地方文化、家族偏愛のドラマなど、日本にも通じるテーマがくっきり描かれて飽きない。章ごとに語られるキャラクターも、各俳優が競うように明快に演じ、とりわけ第2章カルラを演じるテデスキは華麗さと俗物的下品さの両面を巧く出して、奥行きが深かった。サスペンス感も上々。
現実に宇宙船に乗り込む人たちを見ていて気持ちがいいのは、異国の者どうしが一つの目的に向かって楽しそうにやっていることだが、このシリーズでは、人種の違いどころか、異星人どうしも団結しているのだ。今回は特殊メイクと衣裳のチームが頑張って、50種以上の異星人が登場している。未知の星に不時着した宇宙船救出ミッションに出発した主人公たちに、突然、謎の異星人たちが襲いかかる。おかしいのは宇宙においても空手風の武術とオートバイ・アクションでけりをつけることだ。
決闘で夭折したガロアもそうだが、数学の天才といえども社会に生きている以上、ただ紙とペンを持って問題を解いていればいいというわけにはいかない。インドの天才数学者ラマヌジャンが彼を認めたケンブリッジ大学の教授に招かれて英国に渡る話だが、デヴ・パテルとジェレミー・アイアンズが好演。第一次大戦下、トリニティ・カレッジの重々しい雰囲気が実物撮影の効果で圧巻。ここがニュートンやB・ラッセルのいた所かと感慨に耽りはじめたとたん、民族的・階級的差別の嵐が吹く。
朝鮮王朝時代、平安道義州の遊郭の一帯が舞台で、心ならずも清朝の王室に嫁がされる王女コ・アラが街を通りかかり、天才魔術師ユ・スンホと出会う。伝奇ロマンや、マジックが好きな者には、色鮮やかな朝鮮魔術の仕掛けが楽しめ、それを作りだす芸能人仲間たちもおかしい。スンホは片目が青く、地続きのヨーロッパの血を感じさせるのは巧妙である。敵味方のキャラクターもキメがこまかく、スンホの盲目の姉は医学と占いで身を立てているのだが、彼女に愛されず、殺意を抱く男が怖い。
笑ってしまうくらい浅はかでビビリで見栄っ張りな不動産屋の矮小オヤジをはじめ、登場するキャラすべての言動が身につまされるし、共感してしまう部分がある。加えて、持てる者と持たざる者、搾取する側と搾取される側といった二極化の絶対みたいな現実も突きつけてくる。それらにズドンと沈むが、轢き逃げをめぐるミステリーにアガり、真の愛に気づく少女のドラマにも魅せられる、えらく重苦しいがなんだか芳醇な作品。その少女に扮したマティルデ・ジョリが美しすぎてたまらない。
これまでのスタトレと比べると……みたいなことをウダウダ考える暇など与えぬ、尋常ならざるスピード感が妙味である新シリーズ。となると、J・リンの起用はドンピシャなわけで、ノリの良さは歴代最高といっていい。メンバー各自の活躍ぶりと連帯感の描き方もこれまた歴代最強で、彼が「ワイルド・スピード」シリーズで培った手腕が見事に花開く形に。ただ、〝仲間は大事〟的な空気が濃すぎて「ワンピース」を観ている気分にもなってくる。L・ニモイとA・イェルチンへの追悼には涙。
もともと数字に弱く、三十代なかばから九九の〝七の段〟がまごつくようになった身としては劇中に登場する数式や論理などは、まったく意味不明。そういうわけでドラマに注視するのだが、ただただラマヌジャンの不遇ぶりを強調しているだけで、そこから一越え二越えしないまま終わっている。それで彼は立派な数学者でありましたみたいなクレジットを出されてもなぁ……といったところ。ただし、ケンブリッジ大トリニティ・カレッジの荘厳な佇まいをたっぷりと拝ませてくれるのは◎。
ただでさえ麗しいうえにオッド・アイ、それを隠すための長髪をなびかせるユ・スンホ。そんな彼の容姿を筆頭に、どこまでもロマンティックが止まらない。伏線になる小道具、魅力に溢れたサブキャラたち、人体切断マジックなどの舞台装置を使った悪玉とのバトルといった具合に、その他の要素もカチッとまとまっていてどこまでもウェルメイド。おかげで汚ッサンの俺もしっかり胸キュンできたし、ドキドキもできた。ヒロインを演じる女優のコ・アラなんて名も含め、すべてが愛おしい一本。