「第三夫人と髪飾り」のアッシュ・メイフェア監督による第二作。ナイトクラブの歌手でトランスジェンダーのサンと、ボクサーのナムの物語。性別適合手術の費用が必要なサンは、街のフィクサーにパトロンになってと懇願するが、そのことはナムの心をざわつかせ、命を賭けた地下格闘技へ出場することを決める。地下格闘技で心が荒ぶるナムは若いミミと身体を重ね、身篭らせてしまう…
どんなに愛しあっていても、周囲の無理解や社会制度が二人の間に距離を作り、遂に感情を爆発させたナムが過剰防衛でチンピラの命を奪ってしまう。裁判は正当防衛で無罪となるが、その裏でフィクサーと取引したサンによるもの。愛するがゆえに別れていく二人の悲劇を情感豊かに描く。
フィクサーを演じている俳優は、日本人にもそっくりな人がいると思ったら、その人、井上肇だった。