車寅次郎がふらりとやってきたのは義弟の博の生家がある備中高梁。今年は博の亡父の三回忌にあたり、その墓参りを思いついて訪れたのである。そこで寺の和尚と娘の朋子に出会った寅次郎はお茶に呼ばれ、すすめられるままに酒へと座は盛り上がりすっかり和尚と意気投合。朋子の弟・一道は仏教大学に在籍しているものの写真家になりたいといって父と対立していた。翌日、帰ろうとした寅次郎は朋子が出戻りだということを知る。そこに法事の迎えがやって来て、二日酔の和尚に代って買って出た寅次郎は、名調子の弁舌がすっかり檀家の人たちに気に入られてしまい、寺に居つくハメになった。数日後、博、さくら、満男の親子三人が三回忌の法事で寺にやってきた。そして、介添の僧の姿をした寅次郎を見て度胆を抜かれる。ある日、大学をやめて東京の写真スタジオで働くという一道を和尚は勘当同然に追い出した。一道には病弱な父を支えて酒屋を切り盛りしているひろみという恋人がいた。ある夜、和尚と朋子の「寅を養子に貰うか」という会話を耳にした寅次郎は、翌朝、書きおきを残して東京に発った。とらやに戻った寅次郎は、一同に余生を仏につかえることを告げ、帝釈天での押しかけ修業が始まった。ある日、とらやに一道とひろみが訪ねてきた。お店の休みを利用して上京してきたひろみを泊めてほしいとのことだった。結局、二人共二階の寅次郎の部屋に泊まり、数日後、朋子がそのお礼に訪ねてきた。寅次郎は嬉しいのだが、そわそわしてゆっくり話そうともしない。そうしているうちに朋子の帰る時間がやってきた。朋子は見送りに来た寅次郎にそれとなく好意を伝えるが、寅次郎は冗談としてうけとりはぐらかす。朋子は悲しげに去っていた。そして寅次郎は、又、旅に出るのであった。