長崎から少し離れた山村に住む老婆・鉦のもとに一通のエアメールが届いた。それは鉦の兄であるハワイの大富豪・錫二郎の息子・クラークからで、不治の病にかかり余命短い錫二郎が、死ぬ前に鉦に会いたいというものだった。ところが、兄弟が多い鉦には錫二郎という兄の記憶がなく、そんな鉦の気持ちとは裏腹に、突然現れたアメリカの大金持ちの親せきに興奮した息子の忠雄、娘の良江はハワイに飛んで行ってしまう。それによって残された4人の孫・縦男、たみ、みな子、信次郎は夏休みを鉦の家で過ごすことになった。孫たちは鉦の家の生活に退屈しながらも、長崎の街にある戦争の傷跡や鉦がいつも話す昔話を聞いて、原爆で祖父を亡くした鉦の気持ちを次第に理解するようになる。ハワイ行きを拒んでいた鉦がついにハワイに行く気になり、縦男はその旨を手紙に書いてハワイに送る。それと入違いに忠雄と良江が帰って来た。手紙のことを知った二人は、その手紙に原爆のことが書いてあることを知り、急に落胆する。アメリカ人には原爆の話をしてはいけないと言うのだ。そんな時、突然クラークがハワイからやって来る。縁台で鉦と手を取り合って対面を喜ぶクラークは「ワタシタチ、オジサンノコトシッテ、ミンナデナキマシタ」とたどたどしい日本語で語った。その後長崎で孫たちと楽しい日々を送っていたとき、錫二郎の死を告げる電報がクラークのもとへ届き、クラークは急いで帰国するのだった。鉦も縁側でその電報を握りしめていつまでも泣いていた。そしてこの時から鉦の様子がおかしくなっていく。雷雨の夜、突然「ピカが来た!」と叫びだし、翌朝、豪雨の中で鉦は風に揺られながら駆け出していく。そんな鉦を忠雄、良江、それと4人の孫たちはこみあげる熱い気持ちのまま、泣き叫びながら追いかけていくのだった。