地方都市の繁華街で歌う演歌歌手の応援をした寅は、ふらりと柴又へ帰って来た。甥の満男は就職して半年が過ぎ、セールスマン仕事にすっかり嫌気がさしていたが、そんな彼を寅はやんわり諭す。ある日、長浜市で家業を継ぐ大学時代の先輩・川井信夫から誘われ、満男は休日を利用して地元のお祭りを観に行った。そこで出会った信夫の妹・奈穂に町の案内をしてもらい、2人は急速に打ち解け合っていく。一方、寅も同じ長浜に来ていて、大きな撮影機材を抱えた宮典子がケガをしたのを助けた。年に一度撮影旅行に出かけるのを楽しみにしている典子と寅は周囲から見ると夫婦のように親しくなるが、ケガを聞いて典子の夫・幸之助が迎えに駆けつけ、典子は突然帰ることになった。何も言わず、送り出す寅。一方、地元の曳山祭りたけなわの夜、奈穂と二人きりになり、彼女に何げなく恋人はいるかどうか聞く。そんな満男の姿を見かけた寅は、満男にひと言声をかけて励ました後、すうっと人混みの中に消えていった。その晩、信夫から「よかったら妹をもらってくれないか」と言われ、驚きながらもまんざらでもない満男。だが、東京へ戻ってきた後、それが信夫のひとりよがりだったことを知らされがっくりし、やはり柴又に戻ってきていた寅と恋をめぐって語り合うことに。年が明け、もう会えないと思っていた奈穂がひょっこり満男の元を訪ねてきて、満男は大喜びする。そんな満男を知ってか知らずか、遠くまた旅に出た寅であった。