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恍惚の人

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  • 平均評点

    74.3点(114人)

  • 観たひと

    168

  • 観たいひと

    6

  • レビューの数

    30

基本情報

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 1973
公開年月日 1973/1/15
上映時間 102分
製作会社 芸苑社
配給 東宝
レイティング 一般映画
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
カラー/サイズ モノクロ/スタンダード
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル
上映フォーマット 35mm

スタッフ

監督豊田四郎 
脚本松山善三 
原作有吉佐和子 
製作佐藤一郎 
市川喜一 
撮影岡崎宏三 
美術小島基司 
音楽佐藤勝 
照明榊原庸介 
編集山地早智子 
助監督鈴木一男 

キャスト

出演森繁久彌 立花茂造
小野松江 茂造の妻
田村高廣 立花信利
高峰秀子 立花昭子
市川泉 立花敏
乙羽信子 京子
浦辺粂子 門谷のお婆ちゃん
杉葉子 木原婦人
伊藤高 山岸
篠ひろ子 エミ
中村伸郎 藤枝
吉田日出子 瀬川邦子
神保共子 敬老館の少女
野村昭子 笈川千恵
大久保正信 火葬場の係員
若宮大佑 おでん屋の老人
大辻しろ 運転手

解説

息子も孫も顔をしかめてそっぽを向くボケた八十四歳の老人との温かい心のふれ合いを日常の中でとらえる。原作は有吉佐和子の同名小説。脚本は松山善三、監督は「地獄門」の豊田四郎、撮影は「喜劇 泥棒大家族 天下を取る」の岡崎宏三。

あらすじ

立花家は、84歳の茂造、その息子夫婦の信利と昭子、子供の敏が同居していた。茂造は老妻が死んで以来、ますます老衰が激しくなり、他家へ嫁がせた自分の娘の京子の顔さえ忘れていた。それどころか、息子の信利の顔も忘れ、暴漢と錯覚して騒ぎ出す始末。突然家をとび出したり、夜中に何度も昭子を起こしたりする日が何日か続いた。昭子は彼女が務めている法律事務所の藤枝弁護士に相談するが、茂造の場合は、老人性うつ病といって老人の精神病で、茂造を隔離するには精神病院しかないと教えられた。昭子に絶望感がひろがった。ある雨の日、道端で向い側の塀の中からのぞいている泰山木の花の白さに見入っている茂造を見た昭子は胸を衝かれた。茂造には美醜の感覚は失われていない、と昭子は思った。その夜、昭子がちょっと眼を離している間に茂造が湯船の中で溺れかかり、急性肺炎を起した。だが、奇跡的にも回復、昭子の心にわだかまっていた“過失”という文字が完全に拭いとられた。そして、今日からは生かせるだけ生かしてやろう……それは自分がやることだ、と堅い決意をするのだった。病み抜けた茂造の老化は著しくなった。そんな時、学生結婚の山岸とエミが離れに引っ越してきた。茂造は今では昭子の名さえ忘れ“モシモシ”と呼びかけるが、何故かエミにはひどくなつき、エミも色々と茂造の世話をしてくれるようになった。しかし、茂造の奇怪な行動は止まなかった。便所に閉じ篭ってしまったこと、畳一面に排泄物をこすりつけたこと……。ある日、昭子が買い物で留守中、雨合羽の集金人に驚いた茂造は恐怖のあまり、弾けるように外へ飛び出した。血相を変えて茂造を捜す昭子の胸に、迷子になり母の姿をみつけた少年のような茂造がとび込んできた。それから二日後、木の葉の散るように茂造は死んだ。「家が臭い」と無遠慮に言う京子に、敏は「臭いから良いんだ。お爺ちゃんがいるようで」と反論する。昭子は茂造を思い、小鳥に「もしもし」と語りかける。そしてその頬には一粒の涙がこぼれ落ちるのだった。

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