深夜、高槻のサービスエリアで休憩する中沢(妻夫木聡)とけいと(伊藤歩)。車の後部座席には中沢の恋人の真紀(田中麗奈)が寝ている。三人は中沢の友達で大学院に入るため京都に移り住んだ正道(柏原収史)の引越し祝いの飲み会のため、京都に行った帰りである。正道の新居は京都の古い町家で、その日の夕方、中沢たちが訪れたときには、同級生の西山(三浦誠己)や坂本(石野敦士)、後輩のかわち(松尾敏伸)らも駆けつけていた。七人はそれぞれの想いを胸に抱えつつも心地よく酔い、自由気ままに楽しい時間を過ごす。真紀は酔ったまま西山のロン毛を短く刈り込み、恋人のいないけいとは中沢に無理を言って呼び出してもらった美青年のかわちにしつこくつきまとう。かたや坂本が見ているテレビに映し出されるのは、ビルの壁と壁の間に挟まった男のニュース。その日の昼間、働いていた賭博喫茶に警察が入ったため窓から逃げようとして失敗したこの男こそ、実は中沢とけいとの幼馴染で中学時代、不良たちの憧れであり二人のヒーローでもあった哲(大倉孝二)その人であった。今や彼の味方はまじめな救助隊員(津田寛治)ひとりのみである。夜の十二時頃、中沢と真紀とけいとが帰ったあと、次にテレビに映し出されたのは、女子高生とサーファーが夕方見つけた座礁クジラ。自分たちの知らない間に世の中でいろいろなできごとが起きていることにあたらめて感慨にふける正道たち。そんな中、酔って寝ていた西山は、起きて初めて散髪を失敗されたことに気づき、かわちに八つ当たりする。気弱なかわちは西山にいじめられながらも、その日の昼間、動物園で怒って去ったままの恋人ちよ(池脇千鶴)のことが気になって仕方がない。他人の目を気にしすぎるが故に街頭アンケートに答えてしまってデートに遅刻しただけでなく、自分を置いて京都に行くと言うかわちに、ちよは腹が立ってならなかった。すっかりみんなのホスト役にまわっていた正道は、やっとなだめた西山に頼まれ、深夜のコンビニに自転車を走らせる。その道中、偶然にも旧友の山田と再会するも、正道の身にアクシデントが……。そして、鴨川のほとり、大阪に住む彼女が正道のケータイを鳴らす。やがて、彼らは導かれるように座礁クジラのいる浜へと集い、同じ朝日を浴びながらちよの元へ走るかわち……。たった一日だけれど、ひとりひとりが胸の中にたくさんの思いを抱え、たくさんのできごとや感情に出会っている。そして夜は更け、また次の日の朝を迎える。