昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町。“求む、ハワイアンダンサー”の貼り紙を見せながら、ここから抜け出す最初で最後のチャンスだと、早苗(徳永えり)は紀美子(蒼井優)を誘う。男たちは、数世代前から炭坑夫として、女たちも選炭婦として鉱山で働いてきた。だが今や石炭から石油へとエネルギー革命が押し寄せ、閉山が相次いでいる。この危機を救うために炭鉱会社が構想したのが、レジャー施設「常磐ハワイアンセンター」だった。紀美子の母・千代(富司純子)も兄・洋二朗(豊川悦司)も、炭鉱で働いている。父は落盤事故で亡くなった。千代は炭鉱を閉じて“ハワイ”を作る話に大反対だが、紀美子と早苗はフラダンサーの説明会に出かける。二人のほかに集まったのは、会社の庶務係で子持ちの初子、一際大柄な女の子、小百合(山崎静代)だけだ。そんな中、娘たちにフラダンスを仕込むために、ハワイアンセンターの吉本部長は、東京から平山まどか先生(松雪泰子)を招く。本場ハワイでフラダンスを習い、SKD(松竹歌劇団)で踊っていたダンサーだったまどかは、ど素人の娘たちに踊りを教える意欲などなかった。また、まどかは母親の借金を背負い、半ば自暴自棄になってもいた。しかし紀美子たちの熱意に次第に心動かされ、ひたむきな娘たちと接するうちに夢を持つ大切さを思い出していた。だが、世間の風当たりは依然強く、さらに予期せぬ出来事が次から次へと起こる。早苗は一家で北海道へ移住することになり、小百合の父親は小百合が遠征で留守をしている時に亡くなる。数々の困難を乗り越えて、いよいよ「常磐ハワイアンセンター」は初日を迎えた。フラガールたちはみごとなダンスを披露して、大歓声を浴びるのだった。