徳川家に生まれた斉道(岡田将生)は、孤独で退屈な日々を送っていた。ある晩、家臣の瀬田助次郎(小出恵介)が語った「私の故郷・瀬田村には天狗がいる」という話に興味を持った斉道は、瀬田村へと向かう。一方、瀬田村で生まれ育った雷(蒼井優)は、父・理衛門(時任三郎)と二人きりで自由奔放に暮らしていた。山が乱されないよう、雷は山に入った村人を脅して追い払う。やがて村人の間では、瀬田山には天狗がいるという噂が広がっていった……。斉道は瀬田村に向かう途中、御用人の榎戸角之進(柄本明)らが止めるのも聞かず、一人“天狗の棲む山”へ馬を走らせ、そこで斉道は雷に出会う。村に戻った斉道が助次郎に、女の天狗に出会った話をすると、助次郎はその天狗は20年前に誘拐された自分の妹・遊に違いないと告げる。そんな中、斉道と遊は美しくも奇妙な巨木“雷桜”の下で再会。山の外を知らない遊は身分の違いなど意識せず、まっすぐな気持ちで斉道に向き合う。そして斉道にとって遊は、初めて“殿”という立場抜きに話せる存在となっていった。互いに惹かれあう二人。だが、周囲がそれを許すはずはなかった……。