東京都世田谷区の生まれ。間もなく青森県弘前市へ移り、幼稚園から大学までは大阪府松原市で過ごした。大阪芸術大学デザイン学科を中退後、上京して俳優養成所に通ったのち、1980年にロックミュージカル『ヘアー』で俳優デビュー。同年のTBS『しあわせ戦争』に端役で出演後、同局『虹色の森』81のシンガーソングライター役で本格的にドラマ出演を果たし、挿入歌の『川の流れを抱いて眠りたい』で歌手としても注目される。83年の根岸吉太郎監督「俺っちのウエディング」で映画初出演。結婚式当日に新妻を刺した犯人を探す新郎役で主演し、報知映画賞主演男優賞に輝いた。同年の山田太一脚本のTBS『ふぞろいの林檎たち』では、エリートの兄妹にコンプレックスを抱く三流大学の学生・岩田健一役でレギュラー出演。中井貴一らとともに等身大の若者像をリアルに演じて、お茶の間の人気を集める。85年の続編『ふぞろいの林檎たちⅡ』では、大学卒業後の社会人生活が描かれ、91年、97年とパート4までが作られる最初の代表作となった。映画はその後、村川透監督「シングルガール」83、新藤兼人監督「地平線」84の助演を経て、藤田敏八監督「海燕ジョーの奇跡」84に、敵対する組の組長を射殺しフィリピンに逃亡する沖縄の若いやくざ役で主演。86年の那須博之監督「紳士同盟」では、薬師丸ひろ子演じる女子大生のヒロインに一目惚れする御曹司役でコミカルな芝居にも才を見せ、川島透監督「ハワイアン・ドリーム」87では、ハワイに不法滞在しインチキ商売をするチンピラふたり組の主人公を、ジョニー大倉とともに演じた。この87年は、前年の「ウホッホ探険隊」86の助演に続く三度目の組み合わせとなった根岸監督の「永遠の1/2」にも主演。自分にそっくりの男が起こした騒動に巻き込まれる失業中の青年を繊細に演じて、キネマ旬報賞主演男優賞を受賞する。さらに、梶間俊一監督「ちょうちん」、崔洋一監督「黒いドレスの女」にも出演しており、時任にとっては映画俳優として大きく羽ばたいた一年になった。この間、テレビドラマでも前述『ふぞろいの林檎たちⅡ』などで引き続き活躍し、倉本聰脚本のフジテレビ『ライスカレー』86では、高校時代の野球部の仲間と一緒にカナダへ渡り、ライスカレー屋を開こうと奮闘する実直な主人公・健次を好演して、さらに広くお茶の間の支持も集める。90年、香港のツイ・ハーク監督のアクション「アゲイン・明日への誓い」に悪役で出演。香港映画界のトップスター、チョウ・ユンファと渡り合い、役者としての幅を広げる。同年の三共の栄養ドリンク『リゲイン』のCMでは「24時間戦えますか」のコピーとともに国際的に活躍するビジネスマンのキャラクターに扮し、“牛若丸三郎太”名義でリリースしたCMソング『勇気のしるし』がスマッシュヒットとなる。大森一樹監督「満月」91で現代の札幌にタイムスリップし、原田知世扮する女教師のヒロインと恋に落ちる江戸時代の武士役、小田和正監督「いつかどこかで」92で競合会社の女性社員に恋をする大手建設会社社員役でそれぞれ主演したあとは、テレビドラマ出演がメインとなり、映画からはやや離れた。この時期のドラマ出演作には、日本テレビ『あきれた刑事』87、TBS『雨よりも優しく』89、『芸能社会』90、『わたしってブスだったの?』93、フジテレビ『日本一のカッ飛び男』90、テレビ朝日『真夏の刑事』92、『彼と彼女の事情』94、NHK『炎(ほむら)立つ』94『名古屋お金物語』95・97、『暴力教師・君に伝えたいこと』96などがある。この間の91年、元タレントの女性と結婚し、二男一女をもうけるが、99年から子育てのために一家でニュージーランドに移住。2003年に揃って帰国するまで、俳優の仕事はほぼ休業した。復帰後に出演したフジテレビ『Dr.コトー診療所』03・06では沖縄の離島で漁師を営む父親役を演じ、医療ミスで妻を亡くしたことから島にやって来た主人公のコトー先生にも不信感を抱いていたが、息子の命を救われたのがきっかけで次第に信頼を寄せていく朴訥な男を好演。続いて、05年の同局『海猿』では伊藤英明演じる主人公の仙崎大輔が所属する海上保安庁の潜水士隊長に扮し、羽住英一郎監督の映画版「LIMIT OF LOVE/海猿」06、「THE LAST MESSAGE/海猿」10にも相次いで出演する。映画でも同様に脇に回ることが多くなったが、矢口史靖監督「ハッピーフライト」08の厳格な機長役、廣木隆一監督「雷桜」10の蒼井優演じるヒロインの父親役、七高剛監督「DOG×POLICE/純白の絆」11の市原隼人演じる警備犬訓練師の上司役など、作品の要所を締める好助演が続く。テレビドラマはほかに、TBS『家栽の人』04、NHK『アイ'ム・ホーム/遙かなる家路』04、『江・姫たちの戦国』11、フジテレビ『プライド』『愛し君へ』04、『花嫁とパパ』07、『ヴォイス・命なき者の声』09、フジテレビNEXT『TOKYOコントロール』11など。坂元裕二脚本のフジテレビ『それでも、生きてゆく』11では、過去に息子が起こした殺人事件の風評から真摯に家族を守ろうとする父親に扮し、好評を博した。