時計塔のある古い木造二階建てアパート一刻館。そこには詮索好きで宴会好きの一の瀬夫人、年齢、職業不詳でのぞきが趣味という四谷さん、スナック「茶々丸」に勤める六本木朱美、浪人生の五代裕作が住んでいる。住人たちは毎夜、五代の部屋で宴会をする。その為、こんな所に居たら人生台無しになると思った五代は出て行くと宣言した。そこへ新しくアパートの管理人になったという美人で若い女性、音無響子が犬の惣一郎を連れてやって来た。響子に一目惚れした五代は、出て行く決心など跡型もなくしてしまう。ある日、五代は偶然見かけた響子を尾行し、墓地に辿り着いた。虚無僧の恰好をした四谷も現われ、二人は響子と和尚の話を立ち聞きした。響子は高校を卒業してすぐ音無惣一郎と結婚したが、事故で夫を亡くしたのだという。ショックを受ける五代。一刻館に四谷に釣られたという女が現れた。また「茶々丸」に通いつめる朱美ファンの男がやって来る。四谷も朱美も迷惑そうだが、女も男も四谷と朱美の溜めていた部屋代を払っていく。五代の合格発表の日、響子はお寿司をとって待っているが何の連絡もない。深夜、酔って帰って来た五代は、響子が好きだと大声でわめきちらす。響子の気持は揺れるが、翌日、音無の父に勧められたと見合いに出かけるのだった。見合いの後、響子は義父から一刻館の取り壊しを相談されるが、暫く待って欲しいと告げる。いつのまにかずぼらな住人たちが好きになっていたのだ。響子と五代は犬の惣一郎のことで喧嘩をし、五代は一刻館を出て行く。五代宛てに届いた荷物を引っ越し先に届けた響子は、下着姿になって五代の前に横たわる。だが、五代は彼女を抱くことができなかった。そこに一の瀬夫人から四谷と朱美が池で心中したと電話がかかる。急いで駆けつけた二人の前に四谷と朱美が現われ、心中したのは銀行強盗をしたあの男と女だと言う。その頃、一刻館の空室にずぶ濡れの男と女はいた。二人共生き残ってしまったのだ。一刻館の前に戻って来た五代は、響子にまた一刻館に住まわせて欲しいと告げるのだった。