貧しい農家の娘いね(高峰秀子)は馬が大好きで、稲こきの仕事を逃げ出して馬市の見物をしているほどだ。そのために両親(藤原鶏太=藤原鎌足と竹久千恵子)に叱られるが、産馬組合の鑑定人が産業組合の組合長に頼んで、いねの父に馬を飼うようにすすめてくれる。父はしぶるが、いねは大喜び。貧しい家では馬を飼うことは負担だと母は愚痴るが、いねの努力で馬は育っていく。厳しい冬を経て春のある夜、馬は子馬を生む。無事に出産させ、はじめは馬を厄介もの扱いしていた両親も、いねの弟二人も、もう馬に夢中になっている。しかし夏がきて、父は金に困って子馬を売らざるをえなくなる。子馬を連れていかれた母馬は、悲しそうに泣き続け、ついには夜中に厩の羽目板を破り、子馬を捜しながら高原を駆けめぐる。いねは子馬を売るかわりに自分が紡績工場に働きに行くと告げる。翌夏、盆休みに帰ってきたいねが牧場に行くと、子馬はいねを覚えていた。