2011年3月11日午後2時46分。マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大の地震が発生。これにより引き起こされた想定外の大津波が、“イチエフ”こと福島第一原子力発電所を襲う。浸水により全電源を喪失したイチエフは、原子炉を冷却できない状況に陥る。このままではメルトダウンが発生し、想像を絶する被害をもたらすことになる。1,2号機当直長の伊崎(佐藤浩市)ら現場作業員は、原発内に残り、原子炉の制御に尽力。全体指揮を執る吉田所長(渡辺謙)は、部下たちを鼓舞しながらも、状況を把握しきれていない本店や官邸からの指示に、怒りを露わにする。しかし、現場の奮闘もむなしく、事態は悪化の一途を辿る。原子炉建屋は次々と水素爆発を起こし、近隣の人々は避難を余儀なくされる。緊急出動する自衛隊。そして、“トモダチ”作戦の発動と共に米軍も動き出す。官邸は、最悪の場合、被害範囲は東京を含む半径250km、その対象人口は約5,000万人に上ると試算。それは、東日本の壊滅を意味していた。残された方法は“ベント”。いまだ世界で実施されたことのないこの手段は、作業員たちが体一つで原子炉内に突入して行う手作業だった。外部と遮断され、何の情報もない中、ついに作戦は始まった。皆、避難所に残した家族を心配しながら……。