ジョージア(グルジア)の南西部にある、トルコと国境を接したアチャラ地方の山深い村。ここには古くから人々の心身の傷を癒してきた聖なる泉がある。代々この泉を守り、水による治療を司ってきた一家がおり、今は父親が儀礼を行っている。しかし三人の息子は、キリスト教の一派・ジョージア正教の神父、イスラム教の聖職者、無神論の科学者と、それぞれ異なる道に進んでいった。年老いた父親は一家の使命を娘のツィナメ(愛称ナメ)に継がせようとするが、ナメはその宿命に思い悩む。村を訪れた青年に淡い恋心を抱き、他の娘のように自由に生きることに憧れるナメ。一方、川の上流に水力発電所が建設され少しずつ山の水に影響を及ぼし、父とナメは泉の変化に気付く。