1967年2月9日、劇作家の寺山修司が構成を担当したドキュメンタリー番組『日の丸』がTBSで放送された。街ゆく人々に「日の丸の赤は何を意味していますか?」「あなたに外国人の友達はいますか?」「もし戦争になったらその人と戦えますか?」といった人々が普段考えないような本質に迫る挑発的な質問を矢継ぎ早にインタビューしていくというものだったが、放送直後から抗議が殺到、閣議でも問題視され曰くつきの番組となった……。2022年、若干28歳のテレビディレクター佐井大紀は、現代に同じ質問をし、1967年と2022年のふたつの時代を対比させることによって“日本”や“日本人”の姿を浮かび上がらせようと、自ら街頭に立つ。映し出されるのは、過去、そして現代の日本と日本人の姿。インタビュー対象者の生々しい表情と戸惑いは、いつしか観る者の戸惑いへと変わってゆく……。