1946年5月、戦後まもないローマ。3児の母デリア(パオラ・コルテッレージ)は家族とともに半地下の家で暮らしている。夫イヴァーノ(ヴァレリオ・マスタンドレア)はことあるごとにデリアに手を上げる。意地悪な義父オットリーノ(ジョルジョ・コランジェリ)は寝たきりで介護しなければならない。夫の暴力に悩みながらもデリアは日々家事をこなし、いくつもの仕事を掛け持ちして家計を助けている。多忙で過酷な生活を送る彼女にとって唯一、心休まるのは市場で青果店を営む友人のマリーザや、デリアに好意を寄せる自動車工のニーノ(ヴィニーチオ・マルキオーニ)と過ごす時間だった。そんなある日、母デリアの生き方に不満を感じている長女マルチェッラは、裕福な家の息子ジュリオからプロポーズされる。彼の家族を貧しい我が家に招いて昼食会を開くことになるマルチェッラ。やがて、デリアのもとに一通の謎めいた手紙が届き、彼女は新たな旅立ちを決意する……。