脚本家志望の男・河合譲治(大西信満)は、かつてシナリオコンクールで受賞したものの、未だプロデビューできないでいた。ある日、同じシナリオ講座に通う若者たちと寂れたバーに行き、ナオミ(奈月セナ)という美しい女性と出会う。ナオミは店で働きながら、俳優を目指していた。彼女にシナリオ講座の講師と勘違いされた譲治は、苦笑しながらも自身の身の上を明かす。やがて、シナリオ講座の講師・椿(村田雄浩)から自分の代わりに映画の脚本を書かないかと誘われる。原作は、谷崎潤一郎の『痴人の愛』だった。二つ返事で依頼を引き受けた譲治は、今度こそ成功してみせると脚本を書き始める。執筆に苦戦するなか、譲治はナオミと再会する。二人の関係は急速に近づいていき、ナオミと執筆との間で身を引き裂かれ、甘く、苦く、狂おしい時間が始まる……。