17歳で江戸へ出ようと故郷・上州を飛び出した助六は、その途中、ひょんなことから仇討ちに巻き込まれ助太刀を買って出たことが病みつきとなり、以来、江戸へ行くのも忘れて助太刀屋稼業に精を出し、全国を流れ流れて七年が過ぎようとしていた。久しぶりに故郷の宿場町へ戻り、母の墓に詣でた助六。だが、町の様子がどうもおかしい。幼なじみで小役人になっていた太郎によると、もうすぐ仇討ちがあると言う。兄の仇を討とうとしているのは脇屋新九郎と妻木涌之助。だが、助六の助太刀は必要としていないらしい。自分の出番がないと知り、昔なじみの棺桶屋に向かった助六は、そこで元八州廻りの役人・片倉梅太郎という侍、即ち新九郎と涌之助の仇と出会う。既に戒名も貰い、泰然自若としたこの侍は、どうも敵面には見えない。暫くして、仇討ちの検分役、関八州取締出役・榊原織部が到着し、いよいよ仇討ちが始まった。果たして、片倉は斬られ仇討ちは終わる。ところがこの侍、実は助六の父親だったのである。そのことを棺桶屋から聞かされた助六は、父親の仇討ちをと思うのであったが、又敵は御法度。そこで、父親の位牌に助太刀を頼まれたということにして、織部たちを斬っていく助六。そうして、見事位牌の助太刀に成功した彼は、しかし織部の供揃えによって射殺。助六の遺体は、彼と秘かな想いを通わせていた太郎の妹・お仙ひとりで弔われる……筈が、実は生きていた助六。お仙と一緒に暮らすべく、ふたりして江戸へ向かうのであった。