定職に就かずにバンド活動をしているヒデジ(小林且弥)は、メンバーの前田(伊達建士)やコウタ(村上和優)とダラダラつるんで計画性のない日々を過ごしている。ヒデジと同棲しているアザミ(みひろ)は、そんな彼への不満が募っていた。ヒデジの誕生日の朝。アザミはヒデジとのちょっとした喧嘩をきっかけに、彼を困らせようと狂言誘拐を思いつく。自分が借金取りに拉致されたことにしてヒデジを脅迫、金を巻き上げるという魂胆だ。二人をよく知る寡黙な男・祐一(大西信満)の家に転がり込んだアザミは、彼女に好意を抱く田辺(杉山彦々)も仲間に巻き込んで、その計画はスタートする。ところがヒデジは相変わらずのマイペース。明日までに50万円用意するよう脅迫電話がかかってきても、慌てる素振りは全くなく、とりあえず金を借りに昔のバイト先のコンビニ店長(大杉漣)やバンド仲間らにあたってみるが、本気度が足りず空振りに終わる。一方、オトコを手玉に取るのは朝飯前のアザミも、思い通りに動かないヒデジにさすがにイライラ。何度も田辺を偵察に行かせるがなんの成果もなく、祐一は黙々と筋トレを続けるだけだった。だが、怒りが爆発したアザミの命令によって田辺がヒデジを恫喝、ようやくヒデジは本気になって走り出す。計画が期待通りに動き始めて喜ぶアザミだったが、そんな彼女の姿を見て、今度は祐一の中で何かが弾け出した。果たして狂言誘拐は成功するのか。狂った運命の歯車は、誰も手をつけられない勢いでラストに向かって暴走し始める……。