医師・大村和弘は毎年1週間の夏休みを利用し、ミャンマー、カンボジア、ラオス等の東南アジア諸国に赴き、医療ボランティアを行っている。研修医時代に出会ったNPO法人ジャパンハート代表の小児科医・吉岡秀人の「待っているだけでは発展しない、年に1週間だけでも続けることが大切だ」という言葉がきっかけだった。その見た目から、ビルマ語で“力持ち”を意味する“Bala(バラー)”にちなんで、Dr. Balaと呼ばれた大村医師が力を発揮するのは、現地で治療するだけでなく、現地の医師に自身の耳鼻科医としての技術と自信を与え続けることだった。医療の知識や経験の欠如だけでなく、自然災害や大量虐殺などにより医療が未成熟な東南アジア諸国で、大村自身がそこにいなくても現地の医師が患者を治療できるという技術と自信を持ってもらうことを夢見て、多くの困難にぶつかりながらも活動を続けてきた。