千葉県松戸市の生まれ。本名・阿部隆史。市立松戸高校を卒業後、さまざまな職業を転々とするが、1992年1月、松尾スズキが主宰する劇団大人計画の公演『やられたい男』を観劇したことをきっかけに、同劇団のオーディションを受けて合格。同年3月の『冬の皮』で初舞台を踏む。以降、独特のキャラクターと卓越した演技力でたちまち看板俳優となり、主役級の役を次々と演じた。並行してテレビドラマ、CMにも徐々に進出し、94年には高橋伴明監督「愛の新世界」で映画初出演。小劇団の資金調達のためSMの女王様のアルバイトを始める看板女優・レイ(鈴木砂羽)が所属するイケてない劇団員の役を松尾スズキ、宮藤官九郎らとともに演じた。続いて出演した市川準監督「トキワ荘の青春」96では、実在の漫画家、藤子・F・不二雄の若き日に扮し、抑えた演技で存在感を見せた。95年、宮藤官九郎、三宅弘城、村杉蝉之介らとともにバンド“グループ魂”を結成し、“破壊”の名でヴォーカルを担当。大人計画の舞台とバンド活動を並行し知名度を上げるが、彼の名を世に知らしめる決定打になったのは、TBS『池袋ウエストゲートパーク』00、『木更津キャッツアイ』02、『タイガー&ドラゴン』05、日本テレビ『ぼくの魔法使い』03など宮藤が脚本を手がけた一連のテレビドラマ群である。“クドカン・ワールド”に不可欠な人物として、持ち味を遺憾なく発揮。活躍の場を広げ、中島哲也、三池崇史といった作家からも好んで起用される存在となった。舞妓をこよなく愛する男を振れ幅広く演じ切った宮藤脚本、水田伸生監督の「舞妓Haaaan!!!」07では日本アカデミー賞の優秀主演男優賞を受賞。同じトリオが再結集した「なくもんか」09と併せ代表作とする。テレビドラマはほかに、フジテレビ『アンフェア』06、『医龍/Team Medical Dragon』06~10、『マルモのおきて』11、TBS『誰よりもママを愛す』06、日本テレビ『OLにっぽん』08、NHK『離婚同居』10など。