スウェーデンの南、バルト海をのぞむゴトランド島。誕生日を迎えたアレクサンデル(エルランド・ヨセフソン)が息子の少年(トミー・チェルクヴィスト)と枯れた松の木を植えている。かつて「白痴」のムイシキン公爵の役等で大成功をおさめた名優だったアレクサンデルは今は評論家、大学教授として島で静かに暮らしている。「昔、師の命を守って3年間、若い僧が水をやり続けると、枯木が甦った」という伝説を子供に語るアレクサンデル。そこに郵便夫オットー(アラン・エドヴァル)が祝電をもってやってくる。無神論者というアレクサンデルに、オットーは、ニーチェの永却回帰の話をもちだす。喉の手術をしたばかりの少年は、言葉が言えない。親友の医師ヴィクトル(スヴェン・ヴォルテル)を案内して妻のアデライデ(スーザン・フリートウッド)が来るが、アレクサンデルは子供との散歩を続け独白をくり返す。ヴィクトルのプレゼントのルブリョフのイコン画集にみとれるアレクサンデル。妻は、舞台の名声を捨てた夫に不満をもっている。娘のマルタ(フィリッパ・フランセン)も、小間使のジュリア(ヴァレリー・メレッス)も魔女と噂される召使いのマリア(グドルン・ギスラドッティル)も、夫婦の不仲には慣れている。急に姿が見えなくなった子供を探していたアレクサンデルは、突然失神する。白夜の戸外。アレクサンドルは、自分の家とそっくりな小さな家を見つける。通りかかったマリアが、自分で作ったのだという。子供は2階で眠っていた。アレクサンデルが階下へ降りると、テレビでは核戦争の非常事態発生のニュースを報じているが、途中で通信が途絶えた。電話も電気も通じない。パニックに陥る人々。いつも自分の願望とは逆な結果に終わってきたと嘆くアデライデ。子供に気を使う小間使のジュリアを、感謝の気持ちを込めて抱き寄せる彼女。アレクサンデルはヴィクトルのカバンの中にピストルをみつける。隣室ではヴィクトルを誘って服をぬぐマルタ。アレクサンデルの口から、初めて神への願いが発せられる。「愛する人々を救って下さい。家も、家族も、子供も、言葉もすべて捨てます」と誓う。ソファーに眠り込んだアレクサンデルをオットーが起こしにくる。そして彼は、マリアの家に行き愛せ、という。マリアを訪れたアレクサンデルは、彼女に母の思い出を話し、抱き合った。朝、目ざめたアレクサンデルは、光の中、神との契約を守るべく、自らを犠牲に捧げる儀式をはじめた。