鉄屑を満載して東京港に錨を下ろした老朽船モンロヴィア号の甲板。アラブ人、黒人、中国人、スペイン人等の下級船員の上陸のざわめきを破って、船上起重機が唸り、荷役会社の小頭千鳥松の鉄屑荷揚げ作業員を叱咤する怒号が響く……。一方船長室には廃品回収業者のどんがめや、めっかちが船長に酒と女で取り入って真鍮部品などの闇取引をたくらんでいた。そんな或る日、彼等はずっしりと重い荷物を舷側から運び出そうとした。これを千鳥松が見とがめて、そのシートを引っぱがすと、これが真鍮の部品ばかり、しかも船長室にはパン助まで寝ころんでいる始末。これを見て黒人も、アラブ人も、中国人もついに勘忍袋の緒を切って激昂した。そして彼等は報復手段として起重機のスチームをとめてしまった。そして彼らは船長の非行を罵り、その結束をかためた。そこへ世話役の菊浦がやって来た。そして菊浦の命令で千鳥松らは、水夫長や下級船員を襲い、その間に凄じい格闘が行われた後、スチームは再び通され、作業は開始された。しかし乱闘の結果、下級船員の中には重傷者も出た。やがて千鳥松は上陸して、港湾診療所の医師を連れて帰って来た。報復を恐れる下級船員達の安緒と、信頼の微笑に迎えられて千鳥松が船室に帰って見ると、船長が医療費や食糧を水夫たちに支給するのを拒んでいるという。千鳥松は怒った。そして船長が水夫長に謝るまで作業中止を作業員達に命令した。急を知った菊浦は猛烈に怒ってやって来た。やがて水夫長らの抵抗も空しくスチームのハンドルは菊浦たちに握られてしまった。そこへ代理店長一行がやって来て、船長と一等運転士の契約解除を申渡した。数日後、岸壁で菊浦が罷業の責任をなじって千鳥松を叩きのめして去った後、商売を邪魔されて怨み骨髄の廃品回収業者が現われ、千鳥松を海中に抛り込んでしまった。しかし、彼がかつてはひどいめに遭わせたアラブ人達の小舟に彼は闇の海の中から救われた。その翌朝、モンロヴィア号は民族の垣根を越えた友愛と涙をのせて去って行った。それを見送る千鳥松の眼にも熱い涙がこみあげて来るのだった。