海沿いの小さな町、波楽里町。スナック″ハーベスト″に集まる隊長の津田達哉以下、石井信幸、森下寛、中江雄一、松本聡ら波楽里消防分署の隊員たちは、今日も平穏な日々を送っていた。だがある日、東京の大学から研究室の同僚・田口秀樹と共に蟹の採集にやって来た日比野ももこが、伯母の靖代が営む鴨下豆腐店に滞在することになり、彼らの周辺はにわかに活気づいていく。看護婦にフラれたばかりの信幸も、5年前に交通事故で妻を失くし、父・将次、息子・賢治と3人暮らしの達哉も、みんなももこに一目惚れしてしまう。争って豆腐を買いに走ったり、蟹を獲りに岩場にやって来た彼女の後をついて回ったり。ももこの方もそんな彼らと交流を深めていく。ハーベストのマスター・岩倉一郎の妻・いつみが見知らぬ男と町を出ていったり、何者かに家の中が荒らされる事件が相次いだりと、町全体もせわしなくなった。信幸は酔っ払った達哉から、「これをいい女にやれば、きっと喜ぶぞ」ともらった消防車の模型を、手紙と共にももこに渡す。だが、その気持ちに応えるのがつらいかのように、やがてももこは東京へ戻ってしまった。家が荒らされる事件も猿の仕業だと分かる。こうしてまた元通りの日常がやって来る。信幸たちは満月の中笑い騒ぎながら、海べりの道を旧型消防車を走らせていった。