何ということはない、「娘のアパートを、広島から親子で探しに来たよ」というだけの映画。
シンプルなだけに、まるで喬太郎の新作落語を一席聞いているような、心地よさがある。
インド人のレストランの場面は、設定としてはどうかと思ったが、父親が踊る姿、娘が楽しそうな笑顔を、それぞれ見ることのできる貴重な機会ということなのだろう。
僕は好きなカラオケで熱唱する姿を、近年娘に見せたことはないし、娘が歌い踊る楽しい様子を最近僕は見たことがない。
『青い鳥』ではないが、「幸せは遠くにあるのではなく、身近に、自分の心の中にあるんだよ。」とさりげなく教えてくれる、スマッシュ・ヒット的な1本。
ちょっと疲れている現代の日本人に、ぴったりな作品に仕上がっている。