2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作「PASSION」が、国内外の映画祭で高い評価を得る。神戸を舞台に演技ワークショップから生まれた317 分の長編映画「ハッピーアワー」(15年)が第68回ロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞したのを皮切りに、世界の映画祭で受賞を重ねる。初めての商業映画「寝ても覚めても」(18年)は第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、世界20か国以上で配給された。黒沢清、野原位と共同で脚本を担当した「スパイの妻」(20年)は第77回ベネチア国際映画祭で、濱口の恩師にあたる黒沢清が銀獅子賞(最優秀監督賞)を獲得。「偶然と想像」(21年)で第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)、「ドライブ・マイ・カー」(21年)で第74回カンヌ国際映画祭脚本賞、第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞。「悪は存在しない」(24年公開予定)が第80回ヴェネチア国際映画祭にて銀獅子賞(審査員大賞)を受賞。カンヌ、ベルリン、ヴェネチアの世界3大映画祭のコンペティション部門とアカデミー賞のすべてで受賞するのは、日本人では黒沢明監督以来の快挙となる。