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映画は昔から好きではあったけど、劇場通いは「怪獣映画」オンリーという世代。そこを卒業してからは自分の足は映画館へとは向かわなかった。多趣味なせいもあって映画はたまに覗く程度。集中して見始めたのは退職してからのここ10数年。歳だけはベテランの域だけど、映画好きとしてはまあにわかです。

MY BEST MOVIE

フォロー 74
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VOD 559,021 120
テレビ 923,739 101
その他 158,585 10
鑑賞日 2025/03/27  登録日 2025/03/28  評点 85点 

鑑賞方法 映画館/神奈川県/シネマジャック/ベティ 
3D/字幕 -/-
いいね!レビューランキング 107位

命懸けの主張

 おしゃれをしたい年頃の女性がそのファッション(ヒジャブ)を巡って警察とトラブルを起こし結果悲惨な死を遂げてしまう・・・という忌まわしい事件を題材にした社会派サスペンスドラマ。つい最近(22年)の出来事らしいけど自分は知らなかった。宗教の縛りが厳しいお国柄であることは知ってはいたけど、ヒジャブ云々が死を呼んでしまうことになるとは(死んだ女性はクルド人系だったらしいので人種差別も根っこにあったかもしれない)。
 事件をきっかけにして反体制派らによる抗議運動や暴動が巻き起こりテヘラン市内は一時騒然となったらしい。映画はその騒動に巻き込まれることになるある一家に焦点をあてている。
 一家の主が司法に携わる人間、つまり取り締まる側の人間であるという設定が難しい状況を生むことになり、したがってドラマもサスペンスフルに展開することになる。
 判事になるのももう間近だと夫の出世を喜ぶ妻。でも夫の表情は最初から暗い。それは自分の置かれた立場が危険極まりないものだからだ。夫は体制に異を唱える者たちを炙り出すような汚れ仕事をしている。反体制派からすれば裏切り者、人非人であり、従って周囲からは憎悪の目で見られ、殺意すら浴びせられている。
 娘ふたりはやはり殺された女性同様息苦しい現実に辟易としている。夫と子どもの間に立つ妻は時に娘たちを諌め、また夫の暴走を食い止めようと忙しい。彼女の立ち位置の難しさがドラマをうねらせることにもなるし、また事件の厄介な側面を強調することにもなっていた。
 娘たち若者は常に新しいものに触れ、そしてそれに刺激され、そのたびにファッションも思想も色んなものが更新されていく。そういう時代の流れが確実にある。それにも関わらず夫のように「神が全て」と頑なに教えに固執する者も根強い。軋轢はある意味必然とも言える。
 終盤は家族同士が銃を片手に追いかけ逃げ回る・・・という見ようによっては滑稽な展開になる。それもこの国が抱える歪さを強調することになっていたと思う。
 政府に批判的な映画を撮ったということで監督は逮捕監禁され、そののち国外亡命したという。命懸けの撮影だったわけだ。映画に込める執念のようなものが画面から充分に伝わってきた。