昭和20年8月6日に広島で被爆したピアノを、彼自身も被爆二世である調律師・矢川光則(佐野史郎)が持ち主から託される。爆心地から3キロ以内で被爆したピアノは被爆ピアノと呼ばれ、数台の被爆ピアノを託された矢川は修理、調律して、自ら運転する4トントラックに載せて全国を回っている。東京で生まれ、大学で幼児教育を学ぶ江口菜々子(武藤十夢)は、幼稚園教諭を目指しているものの、将来について漠然としていた。そんなある日、母・久美子(森口瑤子)が被爆ピアノの1台を寄贈していたことを知ると、被爆ピアノコンサートに行き、矢川と出会う。菜々子は矢川を通して被爆ピアノや広島のことを考え、祖母のことを知るうちに、自身のルーツ探しをしていく。母・久美子はなぜ広島から出ていったのか? 祖母・千恵子が菜々子に伝えたかったこととは何だったのか? 矢川はなぜ被爆ピアノを伝える活動をしているのか? 菜々子が自らのルーツを辿り、被爆ピアノの活動を辿りながら、次第に見つけたこととは……?