2024年10月22日に鑑賞。DVDにて。1時間27分10秒。シネマスコープ。
前半は、ノンフィクションのように過去の殺人事件を追うTVニュースのスタッフの取材を通して事実を積み重ねて描く。ここはサスペンスに溢れて非常に良く出来ている。
中盤から後半にかけては、この調査を進める監督、カメラマン、助手の女性が「顔出し」する。そうなると、似非ドキュメンタリー映像でしかなくなっていく。
ラストの映像からは、ニュースオン社の社会部記者ホン・ウニが、亡くなった検事チェ・ムンスの母親から送られて来た「トンソン荘殺人事件の証拠品のビデオ」を1人で見たことで、「霊」に憑かれたということでしょう。トンソン荘事件の犯人も「鏡の中の霊」に憑かれたということらしい。
過去のビデオテープ映像、カセットテープ、証拠品台帳、福祉院の台帳などの書類、古い写真などの昔の小物を作成するのが、小道具さんは大変だったでしょう。「AKAI電機」のカセットデッキ。
開巻『マルイ有限会社の主張 2019年、ファオム寺で放置車が見つかる。所有者は記録映像を撮影中だった。検察は証拠として押収。当社は訴訟によって映像を取り戻した。そして、その映像を編集し上映することにした。ナレーションの声は監督:キム・スチャンだ」「殺人事件に関わる証拠映像の中には、暴力的で残酷なものもある。検察はこれらをマルイビデオと呼ぶ』
・1992年5月5日(子供の日)「トンソン荘殺人事件」
釜山の旅館。アルバイト従業員が恋人を連れ込んで殺した。→★旅館の室内で、この犯人男がカメラで撮影しているのは、なぜ? 疑問だ。その画像に「鏡に映る学生服・黒帽子の若い男の幽霊」が映っていた。犯人は仮釈放の1年前に獄中で自殺。
・1987年5月5日(子供の日)「峨眉[アミ]洞殺人事件」
日帝時代に日本が共同墓地として使用していた地域。朝鮮戦争の避難民が住み着いた町。→ベトナム戦争から戻った父親は亡くなり、長男が母と妹を殺し台所で焼身自殺した。→親戚(実は母の後夫・妹は後夫の娘)が事件の家を所有するが廃屋になり、本人は廃業したトンソン旅館の最上階で暮らす。→長男の亡くなった父親と後夫は双子だった。
「幽霊が憑く」というテーマもつまらない。マルイの事務所に男(犯人)が侵入し機材やテープに放火した。これも不要です。トンソン旅館の最上階に隠れている男(犯人)がワザワザこんな目立つことをするはずがないよ。
巫堂[ムーダン]の祈祷の場面は2回ある。幽霊が憑いた助手の女性ホン・ウニのお祓いをする場面が長すぎる。延々と続く。お祓いで解決したら、韓国人以外は納得しないよ。→このシーンは、お祓いされたウニが、問題の廃屋の屋根裏部屋で「★5人の家族写真」を見つけるという場面で終わる。→先日「破墓 パミョ」(2024)を観たので、なおさら、この巫堂シーンは見劣りがする。この巫堂は鶏の血を顔に塗った。「破墓」では豚の血。
・2019年5月5日(子供の日)憑かれたウニが逃げ込んだ「ファオム寺」→監督とカメラマン2人がカメラで追う。→犯人(兄)が息子の位牌があり毎年命日に訪れていた。寺で兄の死体が見つかったとナレーション。
幽霊に憑かれたウニは、カメラマン2人を刺し殺し、監督は失踪するというラストである。鏡に映る監督?の幽霊?の顔。