北海道・十勝平野の北部に位置する鹿追町。ここに、100年近い歴史を持つ写真館が建っていた。三代目店主・三國勘太郎(橋爪功)が亡くなり、住む人がいなくなったこの写真館に、フォトグラファーの松原雄二(中原丈雄)がやってくる。緑内障の診断を受け、失意に打ちひしがれる雄二の元へ、2年前に亡くなった妻・敬子(賀来千香子)の父・勘太郎の“写真館を譲る”という遺書が届いたのだ。写真館を処分するつもりでやって来たものの、鹿追町の大自然に触れ、離れづらくなっていく雄二。そんなある冬の日、雄二は雪の中で動けなくなっていた少女・吉本麻衣(山木雪羽那)を助ける。麻衣は、京都から山村留学でこの地を訪れた14歳の中学生だった。雄二は、心に傷を持つ麻衣の里親となり、写真館で二人暮らしを始める。するとそこへ、幽霊になった勘太郎と敬子が現れる。それを見て驚く麻衣。麻衣は、幽霊と話すことができたのだ。勘太郎には、死ぬまでに町の人々の写真集を作る計画があった。カメラに触れなくなった雄二に、麻衣の協力を得て写真を撮らせようとする勘太郎。一方、敬子は、先立ったことを雄二に謝りたいと思いながらも、どうすることもできずにいた。果たして雄二は、視力を失っていくなか、カメラを手にすることができるのか? 麻衣の心の傷は癒えるのか? 勘太郎の写真集は完成し、成仏できるのか? 敬子は雄二を励まし、“愛している”と伝えられるのか? 豊かな大自然と四季折々の風景の中で交錯する4人の思いの行方は……。