第一次大戦も終りを告げようとしていた頃、パリ近郊のリセに通学するフランソワ・ジャベール青年(G・フィリップ)は学校に開設された臨時病院の見習看護婦マルト(ミシュリーヌ・プレール)と知り合った。彼女は出征兵ラコンブ軍曹と婚約の間柄であったが、フランソワの強気な情熱に惹かれて動揺した。しかしこの恋は、フランソワの自制とマルトの母の牽制で中断され、フランソワが田舎へ逃避している間にマルトはラコンブと結婚した。半年後、再び学校でめぐり合った二人の心は再び燃え上った。フランソワは家人にかくれてマルトのアパートを訪れ、のっぴきならぬ関係が生れた。恋を成就するため、すべてを戦線の夫に知らせようというフランソワと、それを肯じないマルトの意見が食違いながらも、二人は肉体の魔にひきずられつづけたが、この恋が戦争の終結と共に断ち切らなければならぬという想いは同じであった。こうしてマルトは妊娠した。それがかくせなくなった時、ついにマルトは夫にすべてを任せる気になった。フランソワには、それに抗う実力も勇気もなかった。別れの宴を思い出のレストランで過した二人は、はじめてデートしたカフェに出かけ、そこで終戦を知った。そのショックでマルトは倒れ駆付けた母によってフランソワは引離されてしまった。凱旋した夫に手をとられつつ、産褥のマルトはフラソソワの名を呼びつつ、恋の結晶を残して死んで行った。