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人情紙風船

  • にんじょうかみふうせん
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  • 平均評点

    79.8点(238人)

  • 観たひと

    339

  • 観たいひと

    17

  • レビューの数

    41

基本情報

ジャンル 時代劇 / 文芸
製作国 日本
製作年 1937
公開年月日 1937/8/25
上映時間 86分
製作会社 P.C.L.映画製作所
配給 東宝
レイティング 一般映画
アスペクト比 スタンダード(1:1.37)
カラー/サイズ モノクロ
メディアタイプ フィルム
音声 モノラル
上映フォーマット 35mm

スタッフ

監督山中貞雄 
脚本三村伸太郎 
製作武山政信 
撮影三村明 
装置久保一雄 
音楽太田忠 
録音安惠重遠 
編集岩下広一 
演奏P.C.L.管弦楽団 
製作主任大岩弘明 
美術考証岩田専太郎 

キャスト

解説

江戸深川の長屋を舞台にそこに暮らす人間がやがて破滅に向かう様を描いた時代劇。「髪結新三」としても知られる歌舞伎の演目「梅雨小袖昔八丈」を基にペシミズム溢れた内容となっている。監督は「森の石松」の山中貞雄。この作品の封切り日に召集を受け中国に出征、その地で戦病死、この作品が遺作となった。脚本は山中と長くコンビを組む三村伸太郎。撮影は「お嬢さん」の三村明。音楽は太田忠。出演は「戦国群盗伝」の河原崎長十郎、中村翫右衛門、山岸しづ江ら前進座の面々。

あらすじ

江戸深川の貧乏長屋で老浪人が首つり自殺した。竹光なので切腹できなかったのだ。検分のため外出できない長屋の人々はくさる。長屋に住む髪結いの新三は、強欲な大家・長兵衛をそそのかして、故人への餞と称して大宴会を開く。新三の壁隣には、紙風船の内職を営む、浪人海野又十郎とその妻おたきが住んでいた。新三は自分で賭場を開き、地元を取り仕切る大親分弥太五郎源七の怒りを買っていた。源七の子分が新三を連れ出しに来たが、新三は隣の又十郎の部屋に逃げ込み難を逃れる。又十郎は亡き父の知人毛利三左兵衛に士官の途を求めるが、毛利はそれを迷惑に思い、色よい返事はしない。毛利は質屋白子屋を訪ねる。店主の娘お駒を家老の子息が見初めたためその縁を取り繕うとしていたのである。お駒はそんな自分の運命に耐えられなかった。彼女は店の番頭忠七と出来ていたが、忠七は何も出来ないでいた。白子屋の店先で毛利を待っていた又十郎だが、毛利の依頼で白子屋が差し向けた源七の子分らに叩きのめされる。それを救おうとした新三だが逆に子分らに捕まり、源七の元に連れて行かれる。散々絞られた新三だが、気に入らない源七の鼻をあかそうと再び賭場を開く。しかし源七の子分らに踏み込まれ一文無しとなる。又十郎は毛利が迷惑がっていることに気付いているが、他に仕官の手はなく、おたきにはそのことを伏していた。そして父の手紙さえ渡せれば毛利は受け入れてくれるに違いないと望みをおたきに話すのだった。だが毛利は手紙を受け取ることはせず、又十郎は長屋の側の居酒屋でわびしく酒を飲むのだった。その夜、金のない新三は元手を作るべく髪結いの商売道具を質に入れるため白子屋を訪ねるが、忠七にコケにされ憤慨する。翌日おたきは向島の姉に会いに出かける。その夜は縁日だったが大雨となる。そこでお駒を見かけた新三は昨夜の仕返しに彼女を誘拐する。雨の中毛利に懇願する又十郎だったが毛利は拒絶、二度と姿を見せるなと言い放し父の手紙を雨中に放り棄てる。雨に濡れながら呆然と立ち尽くす又十郎。帰宅した又十郎は新三がお駒を誘拐してきたことを知る。翌朝白子屋の命を受け源七らが新三を訪ね、お駒を帰すよう説得する。金を渡し穏便に済ませようとする源七に対して新三は、源七が頭を丸めて土下座すればお駒を帰すと言う。交渉決裂に憤慨しながら源七らは長屋を去る。実はお駒は隣の又十郎の部屋に匿われていたのだった。この騒ぎを聞き大家の長兵衛がやってくる。源七をコケに出来て満足したからこのままお駒を帰すつもりだった新三に対して、強欲な長兵衛は身代金をせしめようと提案、交渉は自分に任せろと白子屋に乗り込む。交渉は成立し50両の金をせしめた長兵衛がお駒を連れ戻しに帰ってくる。長兵衛は半分の25両を自分の手間賃と言い、呆れた新三はそれを飲む。まとまった金が入った新三は長屋の連中に酒を奢ると宣言。又十郎にも分け前を渡し、居酒屋に連れ出す。帰宅したおたきは長屋の女房達の立ち話から、又十郎が悪事に荷担したことを知る。居酒屋で又十郎はこの件で毛利が困っていたことを聞き、溜飲を下げるのだった。白子屋に戻ったお駒に対して忠七は駆け落ちしようと告げる。ほろ酔いで帰宅し寝入った又十郎をおたきは刺し殺し、自害する。新三は顔を潰された怒りに燃える源七と死を覚悟して対決する。翌朝又十郎とおたきの心中を見つける長屋の住民。長兵衛に伝えに向かう子供が落とした紙風船が溝にはまり静かに流されていくのだった…。

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