旧満州国黒竜江省ハルビン特別市(現・中国黒龍江省ハルピン市)の生まれ。本名・梅宮辰雄。開業医の父・次郎と母・斎子(としこ)の長男で、弟二人、妹二人がいる。終戦後、ハルビンを引き揚げ、茨城県水戸市を経て東京に転居。1956年、日本大学法学部に進むが、在学中に日東紡のモデルをしていたことから人に勧められ、58年、東映第5期ニューフェイス募集に応募して合格し、東映と養成契約を結ぶ。大学は中退し、翌59年2月封切の「母と娘の瞳」に本名で助演後、芸名を“辰夫”として3月封切の「少年探偵団・敵は原子力潜航艇」に明智小五郎役で主演する。続いて5月の「遊星王子」二部作、「男の地平線」「俺らは空の暴れん坊」などニュー東映でアクション映画に主演するが、ニュー東映が東映本体へ一本化されてからは脇役に回ることが多くなる。「人生劇場・飛車角」63、「廓育ち」64などに助演後、65年の関川秀雄監督「ひも」「ダニ」「かも」、村山新治監督「いろ」では、緑魔子らによるヒロインの相手役として、夜の盛り場で女を食い物にして生きるチンピラを好演し、人気を博した。同時に鶴田浩二、高倉健に続く東映やくざ映画の“第3のエース”を作るという会社の方針で主演した「北海の暴れ竜」66、「残俠あばれ肌」67などのアクション映画は芳しくなかったが、「柳ケ瀬ブルース」67、「伊勢佐木町ブルース」68などヒット歌謡曲をベースにした路線は梅宮の軟派なイメージにマッチしてヒットした。68年、本格的主演作である野田幸男監督「不良番長」がヒットしてシリーズ化され、72年の「骨までしゃぶれ」まで計16本が作られる。いずれも梅宮扮する頭目のもと、オートバイに乗った不良グループ・カポネ団が大組織暴力団を相手に戦うというストーリーで、軽佻浮薄な不良青少年アクションとして支持された。同シリーズと交互に主演した「夜遊びの帝王」70、「ポルノの帝王」71なども東映の軟派路線を支える。一方で、実録路線の代表作である深作欣二監督「仁義なき戦い」74、「仁義の墓場」「県警対組織暴力」75ではやくざやエリート警部を演じて、硬軟両極での存在感を示した。80年代に入ってからは重厚さと役柄の幅広さが加わり、「小説吉田学校」83の政治家・河野一郎、「最後の博徒」85の貫録あるやくざ、「花の降る午後」89のフランス料理のシェフなどが印象に残る。テレビは、75年スタートの日本テレビ『前略おふくろ様』での板前役が好評で、その後もTBS『明日の刑事』76、『スクール☆ウォーズ』84・90、日本テレビ『風の中のあいつ』84、テレビ朝日『必殺商売人』84、『はぐれ刑事純情派』88~09、『特命係長・只野仁』03~09、フジテレビ『拝啓、父上様』07など多数がある。72年3月、アメリカ人の元ファッションモデル、クラウディア・ヴィクトリア・ルールダウと結婚。長女・アンナはモデル、タレントとなり、『特命係長・只野仁』などで父娘共演している。女優の梅宮万紗子は姪、『特命係長・只野仁』で共演の高橋克典は母方のいとこ甥にあたる。2019年12月12日、慢性腎不全のため逝去。享年81歳。