茨城県真壁郡大国村(現・茨城県桜川市)の生まれ。5歳上の姉が女優の倍賞千恵子。幼少時に東京都北区滝野川へ移り住み、1962年に松竹音楽舞踊学校へ入学。65年に松竹歌劇団(SKD)へ18期生として入団し、同年の舞台『秋の踊り』で新人賞を受賞して頭角を現す。67年、姉・千恵子と異母姉妹を演じた「純情二重奏」で映画デビュー。69年、五社英雄監督「人斬り」で勝新太郎演じる人斬り以蔵の馴染みの女郎を演じて、京都市民映画祭新人賞を受賞する。その後、松竹に入社して「喜劇・女は度胸」69を始めとする森﨑東監督が手がけた一連の喜劇でバイタリティあふれる女性を好演。一方で、ザ・ドリフターズやコント55号の主演映画にヒロインとして登場するなど、コメディエンヌとしても注目される。また「人生劇場」72を始めとする加藤泰監督による松竹の大作にも連続出演した。彼女が演技派として脚光を浴びたのが、79年の今村昌平監督「復讐するは我にあり」。緒形拳扮する殺人強盗犯の妻を演じ、夫が家出してもたくましく生きていく根源的な生命力を持つ女性を見事に表現して、ブルーリボン賞助演女優賞、日本アカデミー賞優秀助演女優賞などに輝いた。80年には、黒澤明監督「影武者」に武田信玄の側室役で出演。今村監督「ええじゃないか」81、加藤泰監督「炎のごとく」81、相米慎二監督「ションベンライダー」83などを経て、83年、今村監督のカンヌ国際映画祭グランプリ受賞作「楢山節考」、五社英雄監督「陽暉楼」の演技によって報知映画賞助演女優賞、日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。85年には森﨑監督の「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」では、それまで森﨑映画で彼女が演じてきたバイタリティあふれる女性像の集大成ともいうべき旅回りの踊り子に扮し、神代辰巳監督「恋文」では、余命幾許もない元恋人の想いを遂げてやろうとする夫の願いを汲み取って、身を引く妻を熱演した。同年の崔洋一監督「友よ、静かに瞑れ」の演技と合わせて、この年のキネマ旬報賞、毎日映画コンクール、報知映画賞、日本アカデミー賞と主演女優賞を総なめにした。その後は黒澤明監督「夢」90、新藤兼人監督「午後の遺言状」95などを経て、今村監督が再びカンヌでグランプリに輝いた「うなぎ」97と市川準監督「東京夜曲」97などの演技により、キネマ旬報賞、毎日映画コンクール、報知映画賞、日本アカデミー賞の助演女優賞を受賞する。さらには98年、「秘祭」「ラブ・レター」などの演技で日刊スポーツ映画大賞助演女優賞、2000年には平山秀幸監督「OUT」の演技で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞するなど、日本映画界を代表する演技派としての地位を確立。その長年の貢献に対して02年に毎日映画コンクール田中絹代賞が贈られた。最近も今村監督の子息・天願大介が監督した「楢山節考」の後日談的色合いを持つ「デンデラ」11に89歳の老女役で出演し、常に日本映画の第一線で活躍している。テレビドラマではNHK大河ドラマ『春の坂道』71、『龍馬伝』10、連続テレビ小説『春よ、来い』94~95、『すずらん』99、ほか『あめりか物語』79、『八日目の蝉』10、TBS『顔で笑って』73~74、『3年B組金八先生』79、『源氏物語』80、日本テレビ『探偵物語』79~80、『悪女(わる)』92、『嘘でもいいから』93、『瑠璃の島』05、テレビ朝日『蒼き狼・成吉思汗の生涯』80、『お母さんの最後の一日』10、フジテレビ『ギフト』97、『東京タワー/オカンとボクと、時々、オトン』07、『ラスト・フレンズ』08など多数に出演。映画やテレビを通じてパワフルな女性像に独特の味を出してきた彼女だが、年齢とともに母親役が多くなった現在も、そのさばけたエネルギッシュな雰囲気で多くのファンを魅了している。私生活では71年にプロレスラーのアントニオ猪木と結婚したが、87年に離婚した。