帽子店に生まれる。小学生のころから浅草の映画館に通い、都立両国高校三年の時には年間八百本を記録した。一方演劇部で活躍し俳優座入りを志すが、結局日本大学芸術学部映画学科に進んだ。卒業の60年4月松竹入社、演出助手室に属し、高橋治「死者との結婚」、小林正樹「人間の条件・完結編」、篠田正浩「乾いた花」、中村登「紀ノ川」「智恵子抄」、野村芳太郎「影の車」“コント55号”シリーズなど六十二本の助監督をつとめる。作風のうえでは日活・鈴木清順作品の影響を受けたという。68年、松竹・俳優座提携「復讐の歌が聞える」を貞永方久と共同監督してデビュー。単独演出第一作は73年の「同棲時代」で、劇画時代の先駆をなす上村一夫の人気作品を大胆なセット処理と色彩空間の創出、字幕の多用などで映像化し、松竹大船調に新風を送るものとして注目された。同作品のヒットで以降も劇画原作を中心に73年二本、74、75年各三本。73年から松竹契約監督。76年の「さらば夏の光よ」は遠藤周作原作によるメロドラマで、劇画調のケレンから一転。郷ひろみと秋吉久美子を主演に据えて、しみじみと情感に訴える青春映画とした。同年の「パーマネント・ブルー／真夏の恋」とあわせブルー・リボン賞監督賞受賞。以後、バーニング、サンミュージックなどタレント・プロと松竹との提携による青春ものを撮り重ねる。当時の代表作に、同じく郷ひろみと秋吉久美子が主演した「突然、嵐のように」（77）「ワニと鸚鵡とおっとせい」（77）がある。79年、角川書店についで映画製作に乗りだした徳間書店の第一作「黄金の犬」を担当するが、西川寿行のハードな原作は必ずしも資質にあうものではなかった。ついで80年、水上勉原作「五番町夕霧楼」を同じ原作者による「金閣炎上」も加えた中島丈博脚本により、現代味を盛って再映画化した（63年に田坂具隆作品あり）。83年、アイドル人気のシブがき隊で「ヘッドフォンララバイ」を東映で撮り、84年ビデオ・カセット用の劇場公開版「地球物語」でアニメ演出も手がけた。テレビ映画は『京都殺人案内II』（80／松竹・朝日放送）、『わるいやつら』（85／日本テレビ）、『信州八ヶ岳殺人事件』（87／朝日放送）など二時間もの中心。共同脚本として「さよなら列車」（66／松竹）「コント55号・水前寺清子の大勝負」（70／同）など。76年10月8日結婚。1991年12月27日55歳で死去した。