ある産業都市では表向きは鮫島産業として、裏では麻薬を扱う暴力団鮫島組が実権を握っていた。この街に鳴海刑事が赴任してきた。署長表彰十五回、警視総監賞四回、停職三回、減給六回、戒告九回、訓戒二十五回という経歴の刑事で、ゴキブリの如き暴力団狩り専門の男で暴力団からは“ゴキブリ刑事”と恐れられている。そしてもう一人、鳴海の非情な捜査によって恋人を殺され、鳴海を仇と狙っている杉本裕子が鳴海を追いかけてやって来た。鳴海が就任早早、交番の巡査が何者かに襲われピストルを強奪される事件が発生した。鳴海は捜査を開始した。署長は鳴海と同行を希望する若い香月を外し、腕利きの武井刑事を鳴海の相棒としてつけた。一方、裕子は警察署の前にある喫茶店で働き、鳴海の動きを監視していた。鳴海は殺された麻薬の運び屋の身元を洗った帰り道、鮫島配下のダンプカーに襲われるが、間一髪逃げのびる。だが、鳴海の動物的直感は、警察内部に誰か通報者がいると感じさせる。翌日、鳴海は麻薬密売ルートをたどって、麻薬常習者のソープランドの娘・百合を保護するが、殺し屋に追われ、裕子の部屋へ身を隠した。裕子は眠りに落ちた鳴海を殺そうとするが果たせない……。必死になって百合奪還を計る鮫島の配下は、香月を蜂の巣のように銃殺した。窮地を脱した鳴海が警察に戻った時、署長は冷たく鳴海の停職を命じた。警察を去る鳴海を待っていたのは武井だった。その時、ライフルの発射音とともに武井が倒れた。意外なことに、倒れた武井の赤く血に染まった胸には、盗まれたピストルとパスポートが入っていた。今や鳴海は怒り狂う一匹の狼だった。鮫島組港湾事務所にブルドーザーで乗り込み、更にダイナマイトで建物を爆破させた。そして、公民館の敬老会で満場の拍手の中に演壇を降りてくる鮫島の脳天へ向けて、鳴海の怒りを込めた銃が火を吹いた……。