昭和二十年春、本土南端の特攻隊基地では、空襲を受けて秋田は戦死し、深見は負傷した。松井は町の芸者富代を愛し、深見は女教師瀬川を想っている。秋田の妻町子は夫の死も知らず、基地を訪れ、位牌の前に泣き崩れた。雨続きの一日、笠原が戦艦大和の撃沈を報じたが、軍人精神の権化を自負する大滝は、頭からそれを否定した。雨が上り出撃の時は来た。松井は富代に別れ、深見に戦争のない国で待ってるよと言残して飛立ったまま再び帰らなかった。深見は瀬川と夕闇の道を歩いている時、片田飛行長に見つけられ散々に殴られた。基地では激しい訓練がつづけられ、山本は乗機が空中分解をおこして死んだ。彼を葬むる煙を見つめながら、深見は大滝に特攻隊の非人間性をしみじみと諮るのだった。その大滝を父母が訪れるという便りがあった。然しその喜びも空しく、大滝等は出撃の時を迎え、負傷のいえない深見も、「君らと一緒に死ぬ」と、共に空中へ舞上った。大滝の両親が駆けつけた時、すでに機影は遠く白雲の流れる果てに飛び去っていた。