道元は8歳で母・伊子(高橋惠子)を亡くす。それから16年後、24歳の道元(中村勘太郎)は仏道の正師を求め宋へ渡るが、この国でも仏教は腐敗していた。失意の彼の前に、青年僧・寂円(テイ龍進)が現れる。寂円の案内で、道元は入宋したときに錫を止めた天竜山に帰る。そこで住職・如浄禅師と出会い、如浄の元で修行を積む。そしてある夏の夜明け、道元は悟りを得る。道元は帰国し、建仁寺に身を寄せ『普勧坐禅儀』の執筆を始める。腐敗した僧たちからは孤立するが、俊了(高良健吾)、懐奘(村上淳)、宋からやってきた寂円など、道元に共感する者も集まってくる。しかし宗派を否定する道元の教えは、比叡山から邪教の烙印を押される。鎌倉幕府の六波羅探題・波多野義重(勝村政信)は、叡山の僧兵・公仁(菅田俊)らに圧迫される道元を救い、洛外深草の安養院に移らせる。遊女・おりん(内田有紀)は怠惰な夫の松蔵(哀川翔)と乳飲み子を抱え、希望のない日々を過ごしていた。しかし道元と出会い、心の変化を感じる。さらに乳飲み子を失い自暴自棄になるが、道元の教えに救われる。深草に建てた興聖寺が僧兵によって襲撃される。道元は義重の勧めで越前志此庄に移り、大仏寺(のちの永平寺)を建てる。そこで、おりんが道元の門下に入る。義重が永平寺を訪れ、時の執権・北条時頼(藤原竜也)が毎夜怨霊に苦しめられているので救ってほしいと訴える。道元は寂円と共に鎌倉へ行き、時頼に只管打坐を教える。雪深い冬の永平寺で、道元は54年の生涯を終える。