漁船チョンジン号のカン船長(キム・ユンソク)は、不漁に苦しんでいた。故障した船の修理代も出せず、金策に悩んだ末、中国からの密輸業を請け負っているヨ社長から、朝鮮族の密航を引き受ける。6人の船員たちはこの仕事を躊躇するが、カン船長が説得。そして決行の夜。約束の座標に辿り着いたチョンジン号の前に、密航者たちを乗せた中国船が現れる。荒れ狂う雷雨の中、中国船からチョンジン号へ飛び移ってくる密航者たち。その中の1人、ホンメ(ハン・イェリ)は海に転落するが、新米乗組員のドンシク(パク・ユチョン)が無事に救出。やがて海が穏やかになると、監視船が接近してくる。現れたのは、カン船長と旧知の仲のキム係長だった。2人が甲板で酒を飲んでいると、密航者たちを匿っている魚艙から異音が響く。怪しむキム係長に、冷凍庫の故障だとごまかしてカン船長はその場をやり過ごすが、監視船が帰った後に魚艙を開けると、密航者たちが1人残らず死んでいた。冷凍機の爆発が原因だった。夜になって海に霧が出ると、カン船長は密航者の遺体をすべて甲板にあげるよう指示。甲板に上げた遺体から、船員たちは身元を証明するものを奪って次々と焼却してゆく。機関長のワノ(ムン・ソングン)は、家族のために出稼ぎにきた密航者の命を奪ってしまったことに心を痛めていた。すべてが白い霧に飲み込まれたその時、カン船長はおもむろに密航者の死体を斧で切断し始める。海に捨てて、魚のエサにするつもりだった。船員たちにも、死体を切断して海に捨てるよう命令する。だが、ただ1人、ドンシクによって機関室に匿われていたホンメが、その一部始終を目撃してしまう。罪の意識に苛まれるワノ、密かにホンメを救おうとするドンシク、全てを闇に葬ろうとするカン船長、追い詰められて欲望を露わにしてゆく船員たち。それぞれの思惑がすれ違い、大漁を夢見ていた船員たちの運命の歯車が狂い始める……。