江戸の柳生邸では、三人の息子を失った烈堂が、最後の切り札、一人娘・香織の“お手玉の剣”で拝一刀必殺を狙っていた。“お手玉の剣”とは、剣を二本持ち敵と相対し、一本を空中に放り投げ、相手が落下してくる剣を交わそりうとすれば、今一つの剣でその虚をつき、その剣を交わそうとすれば、落下してくる剣で倒す、というのである。その頃、拝一刀と大五郎は、拝家の菩提寺西生寺に墓参のため山陽道を京都に向っていた。西生寺では、烈堂配下の黒鍬衆が待伏せていたが、一刀は、箱車の連発銃で全滅させた。そして一刀は大五郎に言った。「母の墓前に誓おうぞ大五郎、今こそ、柳生烈堂を討つ!」。やがて、一力父子と香織は、京のはずれで対峙した。一刀は大五郎を肩車にして身構え、香織は一刀めがけ突っ走り、短剣を水平に投げた。その短剣を交わした一刀の胴太貫が一閃。香織は、大五郎の可愛さにお手玉の剣を使えなかったのだった。香織の死を知った烈堂は、土蜘珠族の総帥で、烈堂の子で妾腹であるが故に屋敷を追われた土蜘蛛兵衛を頼った。兵衛は、土蜘蛛族出陣の儀式で、土を掘り返して棺から三人の戦士、無常、無我、無門を蘇らせ、拝一刀殺害を命じた。三人は、一刀に「うぬら父子の行く所、関わりのない者が死ぬ」と警告し、一刀の泊まった旅篭の客を皆殺しにした。やがて、琵琶湖で、土蜘株族をひきいた兵衛は一刀を迎え撃った。さしもの一刀も危機に落入るが、一刀は、兵衛の武士としての誇りに巧みにつけ入り、一対一の勝負に挑ませ、兵衛を倒した。深手を負った兵衛は、土蜘蛛の館に戻り、妹・梓に土蜘株の血を絶やさぬように自分の子を生め、と迫った。しかし、急を聞きかけつけた烈堂は、兵衛と梓を斬った。「オロカ者めが!武士の、勝負のと、拝一刀を討ちとれたのに!」そして烈堂は、黒鍬、土蜘珠族の総力を結集して陣頭指揮をとることにした。樹氷がきらめく大雪源に、大五郎を乗せた箱車に橇をつけた一刀が行く。やがて、山の稜線より烈堂率いるスキーをつけた黒鍬衆が現われ、雪の山腹で、橇とスキーの壮絶な大殺陣が展開されていく……。