下町、谷中。師匠・志ん米(尾藤イサオ)の自宅に住み込みながら修行中のマジメすぎる落語家“のようなもの”出船亭志ん田(松山ケンイチ)の落語は、小学生が国語の教科書を読んでいるようで一向に芽が出ない。同居している師匠の娘、夕美(北川景子)に秘かな想いを寄せているのだが、いつもイジられっぱなしでこちらも全く振るわない。ある日、志ん田は師匠から、昔一門にいた兄弟子・志ん魚(伊藤克信)を探し出すように命じられる。一門のスポンサーである女会長のご機嫌とりのため、彼女がお気に入りだった志ん魚を復帰させようという魂胆だ。しかし、ようやく見つけ出した志ん魚は、落語とは無縁の生活を送る55歳の男になっていた。大師匠の死後、もう二度と落語はやらないと誓い、気ままにのんびりと暮らしている。そんな彼の心を動かそうと、志ん田は師匠の命令で志ん魚と男二人のおかしな共同生活を始めることになる。やがて志ん田は、のん気に暮らしながらも自分らしく楽しく生きる志ん魚の姿に、自分の中に足りないものを見つけ出していくのだった。一方、志ん魚も不器用ながらも真っ直ぐな志ん田に昔の自分を重ね、忘れかけていた落語への愛を思い出し始めていた……。