なんで取れない

素晴らしい。コーダとして赤ちゃんから青年期までをじっくり描く。過剰に描かない。母親とのやり取りに亡き母を被せて号泣。母親役の忍足さんばかり注目されているけど、父親役の今井さんも素晴らしい。なんで助演男優賞を取れなかったのだろう。

一瞬の陽だまり

役者って生き物は凄い。池松氏のみならず、子役までスケーターに見えて来る。甘ったるい題名に躊躇せずに観れば良かった。特に湖で3人だけの世界で戯れるシーンが秀逸。のちにこの湖の氷は溶けてしまう。一瞬の戯れ。一瞬の陽だまり。

フォークでロック

ディランがエレキギターを握った当時、私はフォーク野郎がロックの世界に来るんじゃねぇぐらいに反発していた。でも､この映画を観ると､ディランってロックじゃんと心変わり。騒いだりはせず､黙々とフォークでロックしている。これをきっかけに､きちんとディランを聴いてみようかな。

中原中也の気持ち

オープニングから美術館や撮影が素晴らしくてぞくぞくしてしまう。久しぶりでも､やっぱり根岸監督は上手いなぁ。ひたすら感心。しかし､誰にも感情移入が出来ない。心の葛藤がスクリーンから滲み出て来ない。中原中也はどんな気持ちを抱えていたのだろう。

何から何まで

今となっては､何から何までNGな妖鳥死霊濡。だっておっぱい丸出しだもの。だけど最高に魅力的なんだな。血まみれの死霊濡。勝ち誇った表情の死霊濡。悲壮で壮大なエピソード。たっぷり、じっくりと作って欲しかった。

ほとんど中継スタジオから出ない。その分､何が起きているのかという切実感がある。最前線に立たされた者たちの右往左往。同僚なのにドイツ人への偏見。70年代はまだそんな時代だったのかと驚いた。選手の振りをして選手村とスタジオを往復する人物が妙に可笑し味を醸し出している。

夜明けは来るのか

この映画が何故キネ旬ベスト１なのか。あまりに優等生的な内容に､私は全く映画に入って行けなかった。酷な時代だから、あえて理想郷のような世界にしたのだろうか。この会社から出たら酷い現実が迫って来る筈だ。そんなのわかってるよ、と言われそうだけどね。

貧困層で初老で黒人

『ヴァンダの部屋』ほどの衝撃はない。監督のテイストを少し観てしまったからだと思う。小津の『東京物語』を貧困層の初老の黒人にして描いたような感じ。この監督にしか作り得ない映画であろうが、私は受け付けなかった。睡魔が襲って来た。

菅貫太郎の説得力

敵討ちに人生を賭けてきたのに、何故かヒマを持て余している浪人にその相手を殺されてしまう。目標を失ったからって、その浪人を敵討ちに見立ててしまう。この不条理。その浪人が菅貫太郎だから何故か説得力がある。不思議だ。

自業自得

エピソード0のダークファンタジー。『ジョーカー』のずっと前に丹下左膳でこれをやっていたとは驚いた。出世したいという欲望に絡め取られて堕ちて行く。自業自得。盗人に入ったくせに、戯けた言い訳をするのだもの。それにしても､久保菜穂子の色気よ！

何故上映？

『デビルマン』の原作は、私の人格形成に多大な影響を与え続けている漫画。そんな私から観たら物足りない。どうしてもダイジェストにならざるを得ない。何故この作品が今上映されたのかもよくわからないが、永井豪記念館のある能登の支援になるのかな？

人生の裏窓

淡々と過ごす日常。作る料理はみな美味そう。遺言状も書き終えた。でも､そこには書けないやり残したもの､悔いに思っていること､表に出せなかった思い。それらが押し寄せて来て、現実と妄想ので境界線が消し飛ぶ。人生の『裏窓』か？

どこかうわの空

大統領が悪役のうえ､日米関係はどうなるのかという内容。たぶんトランプさんが再選したらという設定でGOしたものの、現実になってしまったという企画に思えた。そのうえ、最近アメコミ映画にノレないので、どこかうわの空の私。

煩悩に焼き付く

独特ののんびりした間で進むうちに、沖縄独立の話しになってくる。話しの展開も含め､たぶん沖縄の人でないとわからないし､作れない映画だ。怒りもストレートではなく、どこかとぼけている。この為か､青山知可子の圧倒的な肉体だけが煩悩に焼き付いた。

世界を鵜呑みにするな

もうかなり大きいのに、よく子供たちは親の戯言を鵜呑みにしていたなぁ。小さい頃からのことだから、それが当たり前の世界なのだろう。だけど、子供たちの成長は止まらない。いつか虚像は崩壊する。そのきっかけが『ジョーズ』や『フラッシュダンス』というのがとぼけている。