慶応四年、江戸に進撃する官軍の先駆となったのは、相楽総三を隊長とする赤報隊であった。赤報隊は東山道軍参謀から年貢半減令の旗印を与えられ、沿道各地の民衆を鎮撫して行った。百姓あがりの隊士権三は、次の目的地が郷里の沢渡宿と知るや許しを得て単身この地に乗込んだ。その頃、幕領沢渡宿は代官と結託した博徒駒虎一家に支配され、民衆はその圧制に苦しんでいた。赤毛の権三は卑きょうな駒虎から、年貢のカタに取られた娘たちを解放、つづいて代官屋敷からは年貢米を取返した。民衆に敬まわれ有頂点の権三、母親はそんな息子に不安を感じていた。その頃、この宿場には、官軍を阻止せんと幕臣たちの遊撃一番隊が町人に化けて潜入していた。彼らは意気あがる権三に居合い斬りの達人一の瀬半蔵をさし向け、駒虎は権三の恋人トミをまるめこんだ。一方、仲間を助けに行っている留守中に、官軍への献金持逃げやニセ官軍を吹ちょうされた権三は代官を詰問したが、うまくその場をかわされてしまった。民衆の支持を失った権三を励ますのは、真情を知るトミだけだった。権三は、本隊にこの旨を報告かた、三次ら四人を派して軍資金を送った。だが、ニセ官軍の汚名をきせられた相楽はすでに処刑されていた。三次たちを迎えたのは、東山道軍参謀を初めとする白毛をかぶった官軍だった。白毛隊は無残にも少年たちを斬りすてた。新しく支配者となった東山道軍参謀に年貢半減令や民衆の心などは邪魔だった。代官は遊撃隊に殺され、半蔵の恋人も彼らにより命を落した。半蔵は無理非道な官軍に怒り、権三に加担した。やがて、トミまでが非情な弾丸を浴びて他界、赤毛の権三は激しい怒りとともに荒垣のいる官軍勢に突撃していった。