昭和34年、春。鈴木オートに新しいファミリーが増えた。事業に失敗した親類から、しばらく娘を預かって欲しいと頼まれた則文(堤真一)が快諾したのだ。しかし、その娘・美加(小池彩夢)は根っからのお嬢さん育ちで、下町での生活に馴染むことができなかった。トモエ(薬師丸ひろ子)や六ちゃん(堀北真紀)、そして一平にも反発してしまう美加。小説家を目指す茶川(吉岡秀雄)は、淳之介(須賀健太)と親子のような生活を続けていたが、淳之介の実の父親である川淵(小日向文世)は引き取りたいと再三、申し出ていた。大学の同窓会で肩身の狭い思いをして、ヒロミ(小雪)にも堂々とプロポーズできない茶川は、一念発起して新作を書き上げる。その短編は、芥川賞を狙ったものだった。そんな日々の中、六ちゃんは一緒に上京してきた幼なじみの中山(浅利陽介)と再会する。ほのかな思いを六ちゃんに寄せる中山だが、仕事の方はうまくいかず、悪い先輩にそそのかされて詐欺まがいの手口の片棒を担がされていた。そんな中山の行状を知って六ちゃんは心配する。茶川の小説は、芥川賞の候補として選ばれた。大騒ぎになる三丁目に、受賞するためには審査員を接待する必要があると語る男が現れる。その口車に乗せられて、なけなしの金額を出してしまう則文たち。しかし、それは中山が関わった詐欺だった。芥川賞には落選して、深く落胆する茶川だが、彼を待っていたのは裕福な男からのプロポーズも断ってやってきたヒロミだった。これからは三人で暮らせることに、淳之介も大喜びする。その一方で、父親が迎えにきて、鈴木オートから美加が別れを告げる日がやってきた。ようやく彼女と心が通じあってきた一平は残念でならない。別れの言葉を交わす一平と美加を、三丁目の夕日はやさしく照らし続けていた。