ホン・サンスと加瀬亮、とくれば期待しないわけにはゆかないけれど、どちらにとっても佳品、の印象。会話やモノローグにあらわれるホン・サンス的なあの「間（ま）」の妙が、加瀬亮にじゅうぶんに生きられているとは思えなかった。ただそのこともふくめ、韓国と日本の俳優がときに英語で演技することの「齟齬」そのものが（妥協的にも）作品に主題化されており、独特の雰囲気がゆるくもはりつめていてはらはらさせる。加瀬亮がいつもかかえている文庫本（『時間』）をとにかく読みたい。