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映画

映画人

     KINENOTE DATA       前日比
会員数 54,726 1
総鑑賞データ数 7,059,891 588
総レビュー数 932,160 105
鑑賞方法別データ数
映画館 1,832,677 210
レンタル 596,819 8
購入 124,653 12
VOD 558,434 131
テレビ 923,407 79
その他 158,532 6

AIKI

  • あいき
  • ----
  • ----

amazon


  • 平均評点

    67.8点(49人)

  • 観たひと

    78

  • 観たいひと

    6

  • レビューの数

    12

基本情報

ジャンル ドラマ
製作国 日本
製作年 2002
公開年月日 2002/11/30
上映時間 120分
製作会社 「AIKI」製作委員会(日活=バップ=衛星劇場=広美=IMAGICA=レントラックジャパン=カプリースブリッジ)(制作協力 カプリースブリッジ)
配給 日活
レイティング 一般映画
アスペクト比 アメリカンビスタ(1:1.85)
カラー/サイズ カラー/ビスタ
メディアタイプ フィルム
音声 ドルビーSR
上映フォーマット 35mm

スタッフ

監督天願大介 
脚色天願大介 
原作天願大介 
製作総指揮中村雅哉 
企画猿川直人 
製作伊藤梅男 
石川富康 
岡田眞澄 
高野力 
長澤一史 
長橋恵子 
プロデューサー飯野久 
松田康史 
古賀俊輔 
撮影李以須 
美術稲垣尚夫 
音楽めいなCo. 
浦山秀彦 
熊谷陽子 
主題歌ウルフルズ:(「愛撫ガッチュー」)
録音矢野正人 
音響効果柴崎憲治 
照明李龍禹 
石丸隆一 
編集阿部亙英 
衣裳久保田かおる 
制作担当梶川信幸 
助監督武正晴 
スクリプター宮下こずゑ 
スチール中原一彦 
特殊造型松井祐一 
擬斗秋永政之 
「AIKI」製作委員会安村重幸 
岡本東郎 
秋元一孝 
田中由紀夫 
松尾宗俊 
牧田実 
下地和成 
穐葉武人 
武田清満 
水野久美子 
青山正人 

キャスト

出演加藤晴彦 芦原太一
ともさかりえ サマ子
石橋凌 平石正嗣
火野正平 常滑清
原千晶 芦原民子
木内晶子 チカ
桑名正博 権水松太郎
清水冠助 川添
小木茂光 医師
三上寛 セコンド
菅田俊 法月流拳法師範
田口トモロヲ 石川三郎
ミッキーカーチス 宮司
佐野史郎 ビデオ屋の客
余貴美子 『秘め事』のママ
永瀬正敏 バーテン
松岡俊介 バーのアベック男
我修院達也 郵便配達員
神戸浩 レンタルビデオ店長
角替和枝 区民館掃除婦
深浦加奈子 女医
富家規政 取調官
田中要次 患者
森下能幸 患者
川島郭志 
吉田智則 
弓削智久 
川村亜紀 
松井涼子 
荒井賢太 
安保由夫 
斎藤歩 
詩音 
清水伸 
薬袋一久 
則友謙司 
田口陽介 
ブリテリ 
柾川めぐみ 
七世一樹 
田村泰二郎 
大山峻護 
稲宮誠 
十貫寺梅軒 
清田馨 
鈴木一功 
サム・ルー 
吉宮君子 
メメット・コユンジェ 
ロミ・バット 
クェス 
関口航 
王迪之 
笹木皓太 
田中大河 
酒井晴人 
秋永政之 
北原裕次 
市山英貴 
保科光志 
岩田雅抖 
麻生健介 
大宮イチ 
鴇巣直樹 
石川裕一 
中川拓也 
山本隆司 
井田光則 
佐藤博秋 
福田規生 
山口裕朗 
福田竜二 
鈴木陽介 
及川康弘 
松井昭二 
盛島良介 
渡辺孝 
眞島秀和 
大國千緒奈 
藤井未知央 
鮫島英一郎 
浅原勝 
林正明 
渋谷好重 
工藤吉隆 
宮下輝明 
小泉孝司 
赤迫碩広 
平野健二 
峯岸幸雄 
ポール・インペラトリース 
ジョン・マッケンジー 
リチャード・ハイト 
ハル・ローゼンブラット 
アレック・ライス 
篠清久 
清水幸江 
高桑輝子 
鈴木康弘 
上野直 
倉田幸子 
手嶋恵子 
北村光晶 
大隈重信 
山内茂雄 
山崎元 
増田行子 
林希 

解説

デンマークの実在の車椅子武術家、オーレ・キングストン・イェンセンをモデルに、下半身麻痺となった青年が合気柔術を通して再び生きる力を取り戻していく姿を描いた人間ドラマ。監督は「無敵のハンディキャップ」の天願大介で、脚色も担当。撮影に『アジアンビート5 台湾篇シャドー・オブ・ノクターン』の李以須があたっている。主演は「回路」の加藤晴彦。第59回ヴェネチア国際映画祭出品、第27回報知映画賞助演男優賞(石橋凌)受賞、日活創立90周年記念、平成14年度文化庁映画芸術振興事業、文部科学省選定(青年向、成人向)、厚生労働省推薦、東京都知事推奨作品。

あらすじ

ボクシングに青春を懸けていた太一は、新人王決定戦を目前にバイク事故で下半身麻痺となり、車椅子生活を余儀なくされてしまう。それから一年。すっかり自暴自棄になっていた彼は、しかし大東流合気柔術=AIKIと出会ったことで、再び生きる希望を取り戻す。師範の平石やギャンブラーのサマ子らに励まされ、AIKIの基本を会得していく太一。そして、大使館で行われる演武会にAIKIの代表として参加することになった彼は、見事な演技を披露して喝采を浴び、黒帯を与えられるまでになるのであった。それから数日後、今や自らの運命を受け入れ、人としても成長した太一は、愛犬・フェイクと共に、突然彼の前から姿を消した愛する女性・サマ子を捜す旅に出る……。

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2002年11月上旬号

HOT SHOTS:「AIKI」

  • 鑑賞日

    登録日 2023/05/07

    評点 85


    鑑賞方法 レンタル/東京都/TSUTAYA/SHIBUYA TSUTAYA/DVD 


    受け入れる力 ネタバレ

    目指すものが大きければ大きいほど、それを失ってしまった時のショックは大きい。
    時に神様は頑張っているものに非道な試練を与えるものだ。
    ボクシングで新人王を狙っていた芦原は交通事故によって下半身不随となり、新人王どころかボクサーとして生きる道も断たれてしまう。
    五体満足の自分にとっては芦原の絶望を本当に理解することは出来ない。
    しかし、たとえどれだけ不幸のどん底に落とされたとしても、人を傷つけることは許されないはずだ。
    芦原は元々キャパが狭い人間だったのだろう。
    彼は恋人も友人も遠ざけ、自殺してしまったドライバーの代わりに現れた妻子の謝罪を無視する。ばかりか、子供に「お前の父親はクズだ」と畳み掛ける。
    はっきり言ってここまでの展開で、芦原の印象は最悪だ。
    目標を失った芦原は自殺を試みるが、同じ病室の同じく下半身不随の常滑という男に、「あと一年生きてみて面白いことが一つもなかったら、その時は死ぬことを止めない」と言われる。
    が、一年が過ぎて何も面白いことのなかった芦原はさらに醜悪な人間になっていた。
    彼は強姦をしようとしていたチンピラに喧嘩を売るが、下半身が使えないために強いパンチを打てずに返り討ちに合ってしまう。
    そこを助けてくれたのがテキ屋の権水だ。誰もが目を背ける芦原に彼は親身になって仕事まで用意してくれる。
    そして権水の顔見知りであるギャンブラーのサマ子との出会いが、芦原の人生を変えていく。
    心を閉ざした芦原にとって、唯一側にいて安心出来る相手がサマ子だった。
    さらに彼の生きる道を決定的にしたのが合気道の師範代平石との出会いだ。
    誰も相手にしなかった車椅子の芦原を、平石は何の躊躇いもなく受け入れる。
    合気道とは相手の力を利用して返す武術だ。
    だから決して筋骨隆々である必要はない。
    合気道は相手に反発するのではなく、相手を受け入れる武術でもある。
    合気道の修行を続けるうちに、荒んでいた芦原の心は平静を取り戻していく。
    常滑が世界で自分が一番不幸であるかのような態度を取る芦原に、「なっちまったもんはしょうがねぇ」と檄を飛ばすシーンがあったが、どんな絶望的に思える状況でも見方を変えればチャンスに出来るのだと考えさせられた。
    絶望の中にこそ人は真価を問われる。
    やがてサワ子はトラブルに巻き込まれて芦原の前から姿を消す。
    色々と考えた結果、芦原はサワ子を探す旅に出ることに決める。
    これは芦原という男の再生の物語なのだが、彼が暴言を吐いた加害者遺族との和解シーンをきちんと描いていたのにはとても好感を持った。
    とても丁寧な印象を受ける作品で、何よりどのキャラクターも魅力的なのは、そこにリアリティがあるからだと思った。
    平石の合気道に対して難癖をつける謎の拳法の師範代が、気持ちいいほど返り討ちに合うシーンも面白かった。


  • 鑑賞日 2022/03/05

    登録日 2022/03/06

    評点 70


    鑑賞方法 その他/TSUTAYA DISCAS 


    生きて行く

    実在のデンマークの車椅子合気道家をモデルの映画化とのこと。
    五体満足の生活をしていた若者がある日突然事故で車いすの生活を余儀なくされれば、主人公の芦原太一(加藤晴彦)のように何事にもやけになってしまうことは仕方がない。そこから長い人生をどのように生きるかを、合気道と言う道を見つけた1例として世間に訴える映画だ。
    丁度現在北京パラリンピックが開催されているが、同じようにハンディキャップを持った人が健常者よりも優れたスポーツを行っている事実。尊敬してしまう。
    それにしても合気道と言うのは、相手の呼吸や間で取り組むすごい武術である。
    映画としては、テキ屋の大将役の桑名正博が男でした。


  • 鑑賞日 2008/03/27

    登録日 2021/03/17

    評点 65


    鑑賞方法 レンタル 


    格闘技だけで珍作になっちゃった

    王道のスポ根ドラマ。加藤晴彦とともさかりえの好演がきもちよく、さわやかな印象を残す。桑名正博と火野正平の柄に合った役柄も悪くない。人格者に見える石橋俊も好演だ。

    しかしひとつひっかかるのが、大東流合気道である。
    これが格闘技というより、超能力みたいなのだ。
    相手が触れたか触れないかの微妙な感じで、ちょいと体を動かしただけで、相手が吹っ飛ぶのである。

    なんかうさん臭いなあ。これはテレビでも観たが苦笑したけど、相手が吹っ飛ぶ演技をしただけじゃないの、と突っ込みを入れたくなる。

    その怪しさのおかげで、王道のドラマがちょっとオカルト映画じみてしまう。

    この作品、身障者が直面する厳しさも描いている。
    トイレで排泄するのもセックスをするのも辛い。

    主人公は交通事故で身障者になるのだが、加害者が己の罪に追い込まれ自殺するが、それでも加害者に対する赦しはない。怨念は残したまま、という現実も触れていて、よく描いていると思う。

    それがこういうマジックのような格闘技ですべて台無しにしたような気分なのだ。


  • pp5

    鑑賞日 2000年代

    登録日 2019/04/08

    評点 60


    鑑賞方法 レンタル 


    虚飾のない眼差し

    画面に爽やかな存在感を発する加藤晴彦の好演とともに、再生へと向かう身障者の日常を虚飾のない眼差しで見詰める天願大介の軽やかな語り口が印象に残る。ただ、映画としてはそれ以上でも以下でもなく、あまりにもオーソドックスな出来栄えに物足りない気がするのもまた事実。


  • 鑑賞日 2002/12/07

    登録日 2016/09/08

    評点 65


    鑑賞方法 映画館/東京都 


    合気道へ至るまでをじっくりと

    『ピンポン』などよりずっと良い。カタカナタイトルとは裏腹に合気道へ至るまでをじっくり描いている点が特によい。


  • 鑑賞日

    登録日 2016/03/26

    評点 50


    鑑賞方法 選択しない 


    かつて見た記憶のない感動的な性交シーン

     デンマークの大東流合気柔術、車椅子の武道家がモデル。
     前半はバイク事故で脊髄損傷、半身不随となった青年(加藤晴彦)がやさぐれて行くまでで、健常者が障碍者となってスネ夫になっていく描き方が定型的で、やや不快。街の不良と揉め事を起こし、いたぶられるエピソードも、昔の少年漫画を見ている風。
     その青年がテキヤの親分(桑名正博)に助けられ仲間となっていくあたりから、物語は急激にヒューマンドラマとなっていくが、斜に構えた恋人(ともさかりえ)や真面目一徹の合気柔術の師匠(石橋凌)など、キャラクター造形がよくできていて、ヒューマンドラマによくある押しつけがましさがなくて爽やかに物語は進んでいく。
     アラブの王子の古武道各流派の御前試合では、格闘少年漫画に戻るが、それもエンタメの味付けと考えればかなり骨太なドラマとなっている。
     本作の最大の見どころは、生殖機能の低下した青年と恋人が騎乗位で初めて性交するシーンで、かつてこのように感動的な性交シーンを見た記憶がない。
     車椅子や武道のシーンを加藤晴彦が熱演するが、ともさかりえがいい演技をしている。石橋凌、桑名正博、火野正平もそれぞれに個性的なオヤジを演じている。(キネ旬5位)


  • 鑑賞日 2016/03/19

    登録日 2016/03/20

    評点 85


    鑑賞方法 レンタル 


    相手を受け入れる武術

    子供の頃、合気道を習っていたが、ここで描かれる大東流合気柔術というのはまた違う流派のようだ。掴まれた手首を少し動かしただけで相手が倒れてしまうので、まるで相手が合わせてくれているようにも感じられてしまう。これは実際に技をかけられた本人しかその感覚は分からないだろう。

    ボクシングでチャンスを掴んだ直後、芦原太一(加藤晴彦)はバイク事故で下半身不随の車椅子生活を余儀なくされる。前半は太一が運命を受け入れられない描写が続き、厳しい現実を突きつけられ、合気柔術に出会うまで1時間近くを費やす。自分の状況を嘆き、恋人、友人、姉までも拒絶して自暴自棄になっていく姿が痛々しい。脊髄損傷の現実として、排便、排尿の問題にも目を背けずに描いている。手術や性の問題も描写されるが、こちらはややコミカルなので救われる。

    荒んでいた太一の気持ちを宥めてくれた人生の師匠というべき大人たちの助力が嬉しい。車椅子生活の先輩、火野正平の乱暴さに秘められた優しさ、哀しさが味がある。テキヤの仕事を与えてくれた桑名正博も、頼もしい相談相手。そして、合気柔術の先生である石橋凌の真摯な礼儀正しさが心地良い。太一に同情だけではない気持ちで接するともさかりえは、ミステリアスな風来坊を演じてユニーク。

    格闘技でもう一度自分を取り戻したいと願う太一が辿り着いたのが大東流合気柔術。相手を拒絶することではなく、受け入れなければ技がかからないというこの特殊な武道を経験することによって、事故以来人間を拒否し続けてきた太一の心は開かれていく。起きてしまった事故は、なかったことにはできない。それでも生きて行かねばならない人間の、苦悩から解放への道のりが切実に描かれていて見事であった。

    エンドクレジットには、デンマークの実在の車椅子武術家、オーレ・キングストン・イェンセンが姿を見せ、モデルがいたことを知る。その師匠もまた、実在の人物である。2002年、キネマ旬報ベストテン第五位。


  • 鑑賞日 2014/07/10

    登録日 2014/08/19

    評点 78


    鑑賞方法 レンタル/DVD 


    人生に平らな道はありません。 ネタバレ

    本作に対する私の認識は、2002年のキネマ旬報ベスト・テン5位ということだけだった。タイトルから青春映画と思い込んでしまい、「AIKI」は主人公の名前だろうと思っていた(実は“仮面ライダーAIKI”というイメージがあって、特撮ヒーローものか?と思ったこともあるのは内緒・・・笑)。「AIKI」とは「合気道」のアイキだ。

    相手の過失による交通事故で半身不随となってしまった新人ボクサー。全てが終わったと思った、もうボクシングができないと聞かされた時。当然のことながら自暴自棄になり、飲んだくれ、車イスの身でありながらケンカをふっかけ、当然負ける。彼にとっては、ボクシング(=ケンカ)に勝つということが、ケンカの他に何も取り柄の無い自分が「人生に勝つ」という自信へ繋がっているのだ。ボクシング(=ケンカ)に勝てば勝つほど、欲しいもの(強さやプライドや、カワイイ彼女や)が手に入る。ボクシングができなければ、自分には何もないのだ。そんな彼が合気に出会い、「受け入れる」ことを学ぶ。合気とは気を合わすこと、相手から逃げるのではなく、相手を受け入れ、相手の力を自分のものにすること。怖がらすに受け入れる、人生も同じだ。現在の境遇を受け入れる、そうしなければ何も始まらない。

    本作は、主人公が合気と出会い、成長して行く過程を描く中で、半身不随という障害が一般生活においてどれほどの困難を伴うかがリアルかつ詳細に描かれる。例えば自力で排泄ができないとか、足で踏ん張れないために普通に上半身を起こせないとか、パンチに力が入らないとか・・・。健常者には思いもつかない苦労の連続で、改めて自分は何も知らないのだと恥ずかしくなった。中でも興味深かったのはSEXに関する事。半身不随の障害を描く物語は多々あるが、ここまであからさまに性の問題を描く作品はあまり無い。主人公の性機能が正常に働くかどうかということに喰いつく周囲の男たち(笑)。男性にとっては、一生車イスの生活だということよりも、勃つか勃たないかということの方が大問題らしい。半勃ち程度ですよという主人公の言葉に一気にテンションが下がる男たちの姿に、申し訳ないが笑ってしまった。主人公が病院で知り合った半身不随の先輩(?)は、バイアグラの10倍の効き目があるという薬を、同様の障害のある男性たちに売って人助け(?)をしている。いかにも胡散臭い話に飛びつく主人公。心臓に悪いとされるその薬を買ってしまう男の性が、滑稽を通り越して何だか不憫だ(笑)。この性に関する価値観が男女によって大きく違うのがとても面白い。例の薬の力を借りて、想いを寄せる女性とついに結ばれるかと思った時、あっと言う間に薬の作用は消え、意気消沈する主人公。しかし相手の女性はそうではなかった。女にとって大切なのは、体の繋がりではなく心の繋がりだ。実際の行為がなくても互いの愛を確認できればそれで十分満たされる。だから例え半身不随で性機能が通常に働かない男性相手でも、将来結婚を考えたりできるのだ(子供は持てないかもしれないが)。やっぱり女は強い。そんな風に女性が受け入れてくれるから、主人公もますます前向きに人生を考えられるのだ。彼が、何やらギャンブルのトラブルに巻き込まれたため姿を消した彼女を探す旅に出るラストシーンは、希望に満ち溢れている(実際にどうやって彼女を探すのか?というヤボなツッコミはこの際辞めよう・・・笑)。

    主人公の成長に心温まっていると、エンディングに車イスに乗って合気道をする外人さんの映像が流れて驚いた。本作の主人公には実在のモデルがいたのだ。デンマーク在住のオーレ・キングストン・イェンセンさんだ。彼は穏やかでにこやかな笑顔を見せているが、本作の主人公のようにきっと並々ならぬ努力を重ねてきたはずだ。それを乗り越えて来たからこそのあの笑顔なのだろう。「世の中、平らな道はありません。」小さな段差に車イスを扱えずにいる主人公にかけられる言葉。両足で歩いていると気にも止めない程の段差。人生にも平らな道はない。人生の段差は単純な高低の問題ではない。小さな段差を超えられない人もいれば、大きな段差を軽々超えて行く人もいる。だからといって小さな段差を超えられない人がダメ人間なわけではない。実際にその段差を超えられなくとも、そこに立ち止まるのではなく、超えられないことを受け入れて、回り道をすることも大切だ。立ち止まらず回り道をした方が、確実に目的地に近づけるのだから・・・。


  • 鑑賞日 2003/03/29

    登録日 2013/05/25

    評点 80


    鑑賞方法 映画館/広島県/広島サロンシネマ 


    爽やかな成長スト―リー ネタバレ

     これも望外の収穫になった作品。まず、主役のキャストが素晴らしい。加藤和彦もともさかりえも、個人的には全く好きな俳優ではありません。にもかかわらず、妙にしっくりくる感じがしたのは、ドラマそのものの持つ雰囲気のせいだったかも知れません。ホンワカしたサマ子さんは、とても魅力的でした。

    合気道ってホントにすごいんですね。描かれた世界が全て事実だとは言いませんが、この映画のモデルになった方の存在もあり、合気道によって荒れていた心の平安を得た一人の男、太一を素直に祝福したい気分になりました。

    共演者の豪華さも、また言うまでもありません。石橋凌の落ち着いた物腰が、ドラマに奥行きを持たせる働きを持っていたと思います。あんな先生に習ったのなら、上達もうなずけるというものです。「博打のカタに取ってきた」という犬のフェイクもかわいかったし、爽やかな作品でした。サマ子を探しに旅立つ太一クンの今後に幸あれと祈ります。


  • 鑑賞日 2013/03/21

    登録日 2013/03/21

    評点 70


    鑑賞方法 レンタル/DVD 


    気分は直立不動!

    バイク事故で下半身麻痺の重傷を負ったボクサーの主人公が、偶然出会った合気道に魅せられ自堕落な生活から立ち直っていく青春映画。彼を取り巻くテキ屋(桑名正博)、巫女でギャンブル好きの恋人(ともさかりえ)、同じ障害を持つ男(火野正平)、これらの人物との出会いが実にクールな質感で描かれており好感をもった。自分の境遇を卑下することなく人生を楽しもうとする主人公の姿は美しい。合気道の基本はまず相手を受け入れること、これはとりも直さず積極的な人生の肯定である。