様々な困難を乗り越えて

江戸末期を舞台にした小泉堯史監督の時代劇で、当時日本では治療法が無かった疱瘡（天然痘）が流行して、福井藩の町医者は成すすべが無かったけれど、ある人物から西洋医学の発達を聞かされて、牛の疱瘡の菌を打って免疫を造る方法を知り、海外からその菌を取り寄せて子供たちに打ってやりたい、ということを使命として打ち込んでいく、という実話を描いていて、菌を取り寄せても当時は保存が効かないので、上手くやらないと無駄になってしまったり、上手く子供に定着させても、一日経ったら菌が死んでしまうので、遠方の子供に届けるには大変な苦労があったなど、様々な困難を乗り越えていく様を、小泉監督は丹念に実直に描いているのがよく、変にドラマティックな見せ場を作らなくても、その思いは十分に伝わる、ということを示していると思いましたね。