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幅広いジャンルを見ますが、サスペンス系が大好きです🎶

MY BEST MOVIE

バタフライ・エフェクト

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いいね!したレビュー 1
いいね!されたレビュー 57 376位
総鑑賞本数 791 1804位
総鑑賞回数 791 1900位
レビュー 559 313位
観たい 3

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     KINENOTE DATA       前日比
会員数 54,725 -1
総鑑賞データ数 7,060,788 897
総レビュー数 932,345 185
鑑賞方法別データ数
映画館 1,832,961 284
レンタル 596,834 15
購入 124,666 13
VOD 558,666 232
テレビ 923,520 113
その他 158,553 21

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鑑賞数

22

年間目標鑑賞数

0

ラック

MY FAVORITE映画人

1 山田洋次 脚本/監督/原作/衣装/EP 55
2 黒澤明 監督/脚本/製作/編集 27
3 クリント・イーストウッド 出演/監督/製作/音楽 19
4 スティーヴン・スピルバーグ 製作/監督/原作/脚本/製作総指揮 19
5 小津安二郎 監督/脚本/原作 14
6 深作欣二 監督/脚本/原作/出演 9
7 ロン・ハワード 監督/製作/出演/原作/プロデューサー 8
8 ロバート・ゼメキス 監督/製作/脚本/原作/製作総指揮 7
9 リドリー・スコット 監督/製作/EP/製作総指揮 7
10 アルフレッド・ヒッチコック 監督/製作/脚本/出演 7
11 降旗康男 監督/脚本/出演 7
12 古澤憲吾 監督/製作 7
13 森田芳光 脚本/監督/製作/出演 6
14 岩内克己 監督/脚本 6
15 成瀬巳喜男 監督/脚本/製作 6
16 マーティン・スコセッシ 監督/出演/製作/脚本/プロデューサー/製作総指揮/EP 5
17 フランシス・フォード・コッポラ 製作/監督/脚本/出演/製作総指揮 5
18 スタンリー・キューブリック 監督/脚本/製作/撮影 5
19 デイヴィッド・リーン 監督/脚本/製作/編集 5
20 武内英樹 監督 5

  • 劇場公開日

  • ジャンル

  • 洋画/邦画

  • 3D/字幕/吹替

  • 鑑賞期間

  • 評点

  • 鑑賞方法

  • 鑑賞相手

  • レビュー

山の音

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  • 鑑賞日 2025/03/27
  • 登録日 2025/03/28 
  • 評点 82点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/- 
いいね!レビューランキング -位

それぞれの決意

 古都鎌倉の旧家が舞台、しかも原節子主演となると、まっさきに小津安二郎監督作品が思い出されるが、本作は成瀬巳喜男の手による。淀川長治氏から「貧乏くさい監督」とらく印を押された成瀬監督も、鎌倉が舞台とあっては貧乏くささもなりを潜めている。
 キャスティングが大胆だ。菊子と修一の夫婦役は前週観た「めし」同様、原と上原謙だが、修一の父親信吾に山村聰が扮している。1909年生まれの上原に対し、山村は1910年生まれ。早生まれだから同級生で親子を演じていることになる。ちなみに原は1920年生まれだから上原との夫婦役はともかく、義父と年が近い。山村が老け役に徹しているが、原と二人で歩いているシーンは恋人同士に見える。
 息子夫婦と親夫婦は同居しており、父と息子は同じ会社に勤めている。専業主婦が二人いることになるが、家事はもっぱら嫁がこなし、姑は楽隠居だから、嫁姑関係も良好だ。同じおぜんを囲み、嫁がかいがいしく、給仕する。夫の修一は毎晩付き合いで帰りが遅いので、夕飯を共にすることが少ない。菊子が家政婦にも見えるが、信吾と接している時の方が夫といる時より楽しそうだ。信吾も何かと菊子に優しくするものだから、子供を連れて帰って来た娘にねたまれるほどだ。
 修一には外に女がおり、そのうわさは同じ会社にいる信吾の耳にも入る。菊子に知られる前に何とか別れさせようと女に会いに行き、そこで二人の戦争未亡人に会う。二人は同居し、誰の世話にもならずに暮らしている。今風に言えば、ルームシェアをしている自立した女性だ。昭和20年代にしてはかなり発展的だろう。信吾は思わず財布から金を取り出し、渡そうとすると、「手切れ金ですか? 受け取りでも書きましょうか?」とすごい剣幕だ。すでに修一と別れる決心はしているようだ。
 この二人に比べると菊子が何とも軟弱に見えるが、ついに彼女も行動を起こす。菊子からの電話の声を聞いたときに彼女の決意を悟ったという信吾もある決意をする。それぞれの旅立ちでもある。

ANORA アノーラ

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  • 鑑賞日 2025/03/24
  • 登録日 2025/03/27 
  • 評点 82点 
鑑賞方法 映画館/東京都/TOHOシネマズシャンテ 
3D/字幕 -/字幕 
いいね!レビューランキング -位

ほろ苦いラブコメ

 昨年のカンヌ映画祭パルムドールに引き続き、今年のオスカーも受賞した。ニューヨークの風俗店が舞台でR18だが、とりわけ過激なシーンが多いというわけでもない。むしろほろ苦いラブコメだ。
 ストリップ・ダンサーのアノーラはカタコトのロシア語ができるという理由で、ロシア人の客につく。イヴァンという青年でまだ若いのに羽振りがいい。出張サービスを頼まれ、翌日、イヴァンの住まいに行ってみると、豪勢な邸宅だ。すっかりイヴァンに気に入られたアノーラは1週間1万5千ドルの専属契約をする。「プリティ・ウーマン」をほうふつさせる。
 ロシアの資産家の息子のイヴァンの金づかいは荒く、大みそかのカウントダウンパーティーには友達をたくさん呼び、ドンチャン騒ぎをする。あげく、自家用ジェットでラスヴェガスへ繰り出し、勢いで結婚してしまう。イヴァンはアメリカ人と結婚すればロシアに帰らなくてすむと考え、アノーラはイヴァンを愛しているのか、彼の金を愛しているのかわからないが、玉の輿には間違いない。NYに戻り、甘い新婚生活を楽しんでいるところへ、招かざる客が乱入する。
 本国の両親の命を受けた三人の用心棒で、何とか結婚を無効にしようとする。ロシアン・マフィアのやばい連中かと思いきや、リーダーはロシア正教会の聖職者で、洗礼式を抜け出してイヴァンの屋敷へ駆けつける。部下のひとりはちょっと足りないのではと思わせるアルメニア人、もうひとりは英語が得意ではなさそうで無口だが、最も危なそうだ。この二人はイヴァンに逃げられたあと、アノーラに抵抗され、散々の目に合う。
 三人の用心棒とアノーラは一晩中、イヴァンを探し回る。ロシア人コミュニティーも団結しているわけではなく、若者らは神父らをばかにして取り合わない。時代断絶、これは万国共通のようだ。
 無口な用心棒が実はやさしく、アノーラの理解者であったことが救われる。

めし

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  • 鑑賞日 2025/03/19
  • 登録日 2025/03/20 
  • 評点 92点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/- 
いいね!レビューランキング -位

小津とは異なる成瀬の味わい

 原作者の林芙美子が執筆途中で亡くなったため、未完なのだが、原作になかった結末が井手俊郎と田中澄江により、付け加えられている点が興味深い。原作の雰囲気をこわすことなく、自然な展開にするのだから、脚本家としての力量は相当なものだろう。
 本作はタイトルが示す通り、食事のシーンが多い。それも家庭でおぜんを囲む、ごく質素な食事だ。初之輔(上原謙)と三千代(原節子)の朝ごはんのシーンが、夫婦仲を暗示している。三千代が飼い猫にエサをやると、それまで新聞に目を通しながらタバコを吸っていた初之輔がそれに気づき、「俺のめしは?」と催促する。三千代は悪びれた風でもなく、初之輔も腹を立てるわけでもない。
 二人とも東京出身だが、初之輔は大阪の会社に勤め、二人に子供はなく、専業主婦の三千代は退屈な生活にうんざりしている。そこへ東京から家出した初之輔のめいの里子がやって来て、台風の目となる。わがままいっぱい、自由奔放な戦後の新世代を代表するような里子を島崎雪子が好演し、上原、原の両ベテランを食っている感さえある。
 里子はおじをもてあそぶようにふるまうものだから、三千代の心中もおだやかでない。ついには里子を東京に帰し、自分もついて行き、実家に帰ってしまう。しかし実家には妹夫婦が同居しており、いつまでもいるわけにはいかない。働き口をさがす手立てもするが、その一方で夫のことも気になる。手紙を書いてみたものの、ポストに入れる前にやめてしまう。
 初之輔も慣れぬ家事に苦戦しているが、おいそれと迎えに行くわけにはいかない。出張にかこつけて迎えに行ったものの、三千代はそれを避けるように、ぷいと出てしまう。妹は心配するが、三千代の性格を知り抜いている母親は意に介さない。
 二人は町中でばったり出会い、お互い気まずいような表情を見せるが、多くを語らずも仲直りしたようだ。実にあっさりした展開だが、このあたりが成瀬巳喜男監督、小津安二郎監督とは異なる。

王になろうとした男

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  • 鑑賞日 2025/03/13
  • 登録日 2025/03/13 
  • 評点 78点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/字幕 
いいね!レビューランキング -位

ファーストシーンが残念

 巨匠ジョン・ヒューストンによる監督・脚本だが、ファーストシーンで結末を明かされてしまうのが残念だ。
 ロンドンの北極星新聞社のキプリング(クリストファ・プラマー)のもとへ、一人の老人が訪れる。キプリングは老人に見覚えはないが、彼が名乗ったピーチーという名前は覚えていた。ピーチーを演じた美男子マイケル・ケインが、彼とは思えない老醜をさらしている。ピーチーは3年前に軍隊仲間のダニエル(ショーン・コネリー)と、二人でアフガニスタン北部の秘境カフィリスタンの国王になる契約を交わし、キプリングが証人となった。命からがらピーチーは戻って来たが、ダニエルがこの場にいないということは、先が読めてしまう。このシーンさえなければ、もっと楽しめたはずだ。
 映画はピーチーがキプリングに語るダニエルとの冒険譚に沿って進められるが、本作の原作者は誰あろうキプリング本人だ。ということは本作は実話かと思えてくる。1880年代の大英帝国軍人が主人公ということで、インド人や秘境に住む種族への蔑視も激しい。王様になるために、未開人にイギリス式の軍事教練も施す。謎に包まれたフリー・メイソンの存在が見え隠れし、アレキサンダー大王の伝説がからんだりと、変化に富んでいる。
 ダニエルとピーチーはどこかユーモラスだが、あくまでも王様になるという計画には真剣だ。名優二人が名コンビぶりを発揮している。二人が交わした契約には王座に就くまでは「酒と女を断つ」というものがあり、これも二人はけなげに守り通す。助けた部族の長からお礼に娘を差し出されても断るが、勘違いした長から、それなら息子を差し出すと言われるのには笑える。結局、二人の間にほころびが出る原因も女というのが皮肉だ。
 壮大なヒマラヤの雪景色、大自然の遠景等、映画館で見るべき作品でもある。

ゆきてかへらぬ

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  • 鑑賞日 2025/03/11
  • 登録日 2025/03/11 
  • 評点 83点 
鑑賞方法 映画館/東京都/TOHOシネマズ錦糸町 
3D/字幕 -/- 
いいね!レビューランキング 79418位

成長著しい広瀬すず

 広瀬すずという女優を初めて観た作品は2015年製作の「海街diary」だから、それから10年が経つ。当時10代、天真爛漫な表情や躍動感が印象的で、将来が楽しみだと思った。2020年の「一度死んでみた」ではコメディエンヌの才能も発揮し、成長を感じた。2022年の「流浪の月」では清純派を脱し、ベッドシーンにも挑み、大人の女優に変貌した。そして本作。美しさに益々磨きがかかり、妖艶ささえ感じさせる。その表現力豊かな表情には大女優の風格さえある。
 すずが演じる女優の長谷川泰子は詩人の中原中也と同棲する。泰子が中也の部屋で目覚めるシーンで始まるが、二人が知り合ったきっかけは描かれず、この時は同棲前でお互いの名前すら知らないのだから、かなり発展的なカップルだ。
 中也を演じる木戸大聖のアクセントが気になった。詩人のくせに、「詩」を「死」と発音するのだ。途中から修正されていたが、はじめのうちは気になって仕方がなかった。
 雨のシーンが多い。京都の路地裏を番傘が通る。カメラは真上からとらえているので、左右対称の瓦屋根の真ん中を番傘が画面の上から下に降りてくる。なかなか美的だ。
 東京に出て来た二人は文芸評論家の小林秀雄(岡田将生)と知り合う。小林秀雄といえば、彼の評論が高校の現代国語の教科書に載っていたくらいだから、かなりの文化人だと思うが、友人の同棲相手を奪ってしまうのだから、やはり男女の仲は教養の有無とは関係ないのだろう。せめて教科書に彼の三角関係のことも掲載されていたら、彼をもっと身近に感じられたかもしれない。
 秀雄は泰子を奪ったものの、彼女を御しきれない。彼いわく、泰子は中也と自分との二人で支えなければ生きていけない。実際、秀雄との二人きりの生活に耐えきれない泰子は精神を病んでゆくが、中也と三人で遊ぶときは見違えるように元気になる。
 とにかくすずの熱演が光り、彼女のこの先が益々楽しみだ。

セプテンバー5

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  • 鑑賞日 2025/03/07
  • 登録日 2025/03/08 
  • 評点 93点 
鑑賞方法 映画館/東京都/TOHOシネマズ日本橋 
3D/字幕 -/字幕 
いいね!レビューランキング -位

誤報の原因は?

 1972年9月、ミュンヘンオリンピック開催中の選手村がパレスチナ武装組織に襲われる。本来、平和の祭典、政治とは無縁であるはずのスポーツの祭典が一瞬にして打ち砕かれる。当時、高校生だった僕もこの事件は当然知っているが、その放送の舞台裏までは知る由もない。半世紀以上も前の事件を改めて知ることができたが、その緊迫感に緊張を強いられ、観ているだけで疲れた。実際の事件を忠実に再現することも映画の重要な役割のひとつだと思い知らされた。
 東京オリンピックが敗戦国日本の復興ぶりを世界にアピールできたように、ミュンヘンオリンピックもまた、敗戦国ドイツ復興アピールの格好の場だ。とりわけドイツは戦後、東西に分断されているので、その思いもより強かったのではないだろうか。
 しかし残念ながら、ドイツは事件の収集で失態をさらし、その結果、最悪の事態を招く。しかも人質はイスラエル選手団であり、戦争中にドイツが虐殺したユダヤ人という因縁がある。戦争中のことを思えば、ドイツとしては罪滅ぼしの意味でも何としても救いたかったのではないか。
 この事件を間近からカメラに収め、世界中に生中継したのがアメリカABCのスポーツ局のクルーだ。当時の最新鋭の機材を備えているが、現代から見ればアナログだ。携帯電話などない時代、距離や電波状況に左右されるウォーキートーキーが重要な通信機器だ。彼らは他局との衛星放送枠の取り合いや本社の政治局に任せろという指示にも屈せず、生中継を続ける。しかし、この中継は犯人グループも見られるので、警察の動きも知られてしまう。
 ドイツの公共放送が人質解放のニュースを流し、ABCのクルーらも安堵し、乾杯を始めるが、これが誤報とわかる。この誤報の原因が解明されないのが残念だ。

夜の大捜査線

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  • 鑑賞日 2025/03/04
  • 登録日 2025/03/04 
  • 評点 94点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/字幕 
いいね!レビューランキング -位

人種差別とミステリー

 1960年代のミシシッピー州が舞台で、クインシー・ジョーンズの音楽とレイ・チャールズが歌う主題歌が南部の雰囲気をかもし出している。一面に広がる綿花畑とそこで働く黒人労働者の姿はまさに南部そのものだ。
 ただでさえ人種差別が激しい土地柄なのに、白人に従わない黒人が現れる。北部出身のヴァージル(シドニー・ポワチエ)は黒人というだけで殺人事件の容疑者として警察署に連行されてしまう。彼を連行した警察官のサム(ウォーレン・オーツ)は得意満面で署長のビル(ロッド・スタイガー)に引き渡す。ビルが取り調べるが、彼は根っからの黒人嫌いで、ヴァージルという名前に白人みたいな名前だと難癖をつけ、所持金の多さに被害者から盗んだと決めつける。ところがヴァージルが殺人課の敏腕刑事とわかり、被害者の検視につき合わせる。実はビルは殺人事件のしろうとで、ヴァージルの手際良さに感心していたのだが、容疑者を捕まえたことで、ヴァージルは用済みとなった。大嫌いな黒人に頭を下げずにすむ。しかし容疑者がシロであるとヴァージルが見抜き、捜査は振り出しに戻る。人種差別にミステリーがからみ、ノーマン・ジュイソン監督のうまさが光る。
 事件の背後にある町の権力者に目を向けたことで、ヴァージルは命をねらわれる。警察官だろうと黒人を殺そうとするのだから恐ろしい。危ないところをビルに助けられ、彼から町を出て行けと命令されてもヴァージルは犯人逮捕に執着する。
 ビルは誤認逮捕を繰り返すが、そのたびにヴァージルに反証される。それでもビルもヴァージルを認め、心を許す態度も見せるが、同情されたと思った瞬間、烈火のごとく怒り出す。しみついた人種差別を払拭するのは難しい。
 無口で不愛想なヴァージルが笑顔を見せるシーンが二度ある。黒人の子供たちと接する時と、ビルの気持ちを理解した時だ。ビルの偏見もなくなったと期待させる。

西部に賭ける女

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  • 鑑賞日 2025/02/28
  • 登録日 2025/03/01 
  • 評点 82点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/字幕 
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一番好きな女優

 僕が一番好きな外国人女優はソフィア・ローレンだ。小学5年生の時に観た「チャップリンの伯爵夫人」で初めて観た彼女の、日本人にはない大きな目と口の顔の造りとグラマラスなボディーに悩殺された。以来50有余年、彼女が海外女優ナンバーワンだ。
 イタリアで下積み生活を過ごし、1957年にハリウッドに進出後は世界的女優に飛躍。本作では19歳年上のベテラン、アンソニー・クインを差し置いてトップにクレジットされている。プロデューサーとしてカルロ・ポンティも名を連ねているが、彼は彼女を育てた恩師でもあり、二人は1966年に結婚している。22歳も年上の男と結婚していると知ったときは、子供心にもショックだった。
 本作はローレン初めての西部劇で、旅回り一座の花形女優アンジェラを演じている。劇中劇では馬の背中にあおむけで縛られるというちょっとSMチックなシーンもある。しかも薄物一枚といういでたちだ。ここでは少年の設定なので、原題の「ピンクタイツの腕白小僧」の由来なのかもしれない。まだ20代中盤の彼女はとにかく若く、少女の面影を残しつつ大人の女性に成長する過程のようだ。ドレスアップした時のウエストの細さには驚くばかりだ。
 クインが演じる座長のトムとは愛し合う仲だが、結婚に踏み切れない。その美貌ゆえ、行く先々で男に注目される。ガンマンのマドリーにも言い寄られ、うっかり自分をポーカーの賭け金代わりにしたのはいいが、負けてしまう。こちらは邦題の由来のようだ。
 アンジェラにつきまとうマドリーは腕が立つので用心棒代わりにはなるが、トムは心中おだやかではない。アンジェラをめぐるトムとマドリーの恋のさや当てがあり、二人は殴り合いのケンカもするが、奇妙な友情で結ばれたりもする。
 この4年後にジョージ・キューカー監督が作る「マイ・フェア・レディ」にもどこか似ている。

ライトスタッフ

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  • 鑑賞日 2025/02/24
  • 登録日 2025/02/24 
  • 評点 80点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/字幕 
いいね!レビューランキング 49068位

謎のままのホタルの正体

 1984年の日本公開時の上映時間は160分だったが、今回は195分のオリジナル版の放映で、それは良しとしてもいかんせん長過ぎる。特に後半はもっと絞れたのではないか。
 スピードに命を賭けた男たちと彼らの家族の物語で、マッハの壁に挑戦した1947年からマーキュリー計画が終焉する1963年までが描かれる。ソ連とのジェット機のスピード競争は宇宙開発競争につながり、男たちは国威発揚や政争の具にされてしまうのが気の毒でもある。
 1947年に初めてマッハの壁を破ったイエーガー(サム・シェパード)がいる空軍基地で、宇宙飛行士の候補探しが始まるが、最速男のイエーガーは大学を出ていないという理由で候補に上がらない。タイトルの「ライトスタッフ」には“正しい資質"の意味が込められているが、はたして学歴が“正しい資質"に含まれるのか、釈然としない。
 さまざまな厳しいテストの結果、7人の男が晴れて宇宙飛行士に選ばれ、マスコミに大々的に取り上げられ、世間の注目の的になる。しかし有人飛行はソ連に先を越され、彼らより先にサルを乗せようという計画も上がり、彼らのプライドは傷つく。マスコミに追われ、自分たちを実験材料としか見ていない科学者らに腹も立ち、ストレスも増す。
 パイロットのガスは海上に着氷したカプセルから命からがら脱出したというのに、ヘリは彼の救出より、データが欲しいためにカプセルの回収を優先させる。マスコミを利用したいジョンソン副大統領は取材を拒むグレン(エド・ハリス)の妻を説得するために、軍の上層部に働きかけるが、グレンはそれも敢然と拒否して妻を守る。彼の立派な態度に反し、次期大統領をねらうジョンソンの行動の陳腐さが目立つ。
 グレンは宇宙船の窓から火の粉のようなホタルの群れを見て、カメラに収めるが、その謎を明かしていないのが残念だ。

ケイン号の叛乱

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  • 鑑賞日 2025/02/20
  • 登録日 2025/02/22 
  • 評点 95点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/字幕 
いいね!レビューランキング -位

弁護士ではなく人間として

 太平洋戦争中の駆逐艦が舞台だが、戦闘シーンは一切ない。戦争中とは思えないのどかなシーンも多く、同時期に苦戦を強いられ、一切のぜいたくを禁止されていた日本との違いがあからさまだ。
 軍隊は最強の組織形態だと以前、何かの研修で聞いたことがある。階級がすべて、上官の命令は絶対だから、上意下達が徹底する。それだけにリーダーに要求されるものは大きく、責任も大きい。本作はリーダーをめぐるさまざまな思惑が交錯し、法廷劇にまで発展する濃密な人間ドラマだ。
 名門プリンストン大学を卒業し、少尉任官したキースは老朽船ケイン号に配属される。希望していた戦艦や空母と違い、彼の目には船がボロなら乗組員もクズに見える。艦長にいたっては制服も着用せず、腹巻き姿で指揮を執る。しかし、艦長が交代することになり、キースもやる気を出す。  
 新艦長のクィーグ(ハンフリー・ボガート)は規則を重んじ、規律に厳しい。風紀係を命ぜられたキースはクィーグに従うが、長年の習慣はそう簡単には改まらない。クィーグは細かいことにもうるさいが、そのくせ、演習で犯した失敗は隠ぺいし、部下に責任をかぶせたりする。キースの忠誠心も薄らいで行く。それでも副官のマリックはクィーグに従うが、同僚のキーファーからクィーグは偏執狂の病人だから、副官が指揮を執るべきだとそそのかされ、法的にも保証されていると条文を見せられる。
 確かにクィーグの異常な行動は多い。そして事件は起きる。嵐の夜、マリックは船の安全確保のために進路変更を進言するが、クィーグは耳を貸さない。ついにマリックは最後の手段に出る。
 マリックの英断のおかげで船は遭難せずにすんだが、反逆罪で軍法会議にかけられる。マリックが裁判に勝つ見込みは低かったが、バーニー(ホセ・ファーラー)が弁護を買って出る。乗組員らが呼ばれ、証言し、真相が明らかになったかに見えたが、真相を見抜いていたのはただ一人だった。バーニーは弁護士の職務は全うするが、人間として卑劣な行為は許せない。証言者のある将校の偽善を見抜き、一刀両断する正義感がすばらしい。

エル・スール

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  • 鑑賞日 2025/02/19
  • 登録日 2025/02/21 
  • 評点 83点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/字幕 
いいね!レビューランキング -位

内戦による分断の深さ

 前週観た「ミツバチのささやき」同様、ビクトル・エリセ監督作品で、いくつかの共通点がある。まず時代背景が共にスペイン内戦後の独裁政権下で、前者が1940年、本作は1957年だ。ただし製作された年が前者は独裁政権末期の1973年、本作は民主化後の1983年で、ここに大きな違いがある。前者では「フランコ総統」という固有名詞は一切出てこなかったが、本作ではそれが出てくることで、表現の自由が実現したことがわかる。共に少女の目を通して当時の世相が描かれ、共に父親との交流に焦点が置かれている。ここでは母親は脇に置かれていることも共通している。
 エストレリャは特殊な霊力を持つ父親、内戦後に教職を追われた母親との三人でスペイン北部に暮らしている。冬は厳しく雪も降るが、南は雪が降らないと母親から聞く。父親は南の出身だが、祖父と大ゲンカをして、家を出てから南には帰っていないとも聞き、まだ見ぬ南に思いをはせる。タイトルの「エル・スール」はスペイン語で「南」を意味するようだ。
 エストレリャの初聖体拝受式に参列するために、南から祖母と父親の乳母だったミラグロスがやって来る。はて聞き覚えのある名前だと思ったら、「ミツバチのささやき」に出て来た家政婦の名前もミラグロスだった。これは偶然の一致か、意図するものがあったのかはわからないが、共通点のひとつだ。
 エストレリャはミラグロスを質問攻めにし、父親と祖父とのケンカの原因が内戦にあり、祖父がフランコを支持し、父親が共和派を指示したことによると聞く。フランコが勝利したため、父親は故郷を捨てたのだ。親子の仲まで分断させるのだから、政治の対立は恐ろしい。
 エストレリャは父親の心の中にいる母親とは違う女性の存在に気づく。ただでさえ思春期になれば父親を遠ざけたくなるだろうし、まして父親の浮気などは断じて許せないだろうが、彼女は違う。父親と二人きりで食事し、その女性についておだやかに話し合うシーンは不思議な空間に包まれている。

ウィル・ペニー

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  • 鑑賞日 2025/02/14
  • 登録日 2025/02/17 
  • 評点 83点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/字幕 
いいね!レビューランキング 79418位

カウボーイのダンディズム

 本作のメガホンをとったトム・グリースはこれが監督第一作で、自らオリジナル脚本も書いている。しかも1880年代の西部を再現するために2年間の調査期間を要したというから熱心な研究家だ。確かに本格的な西部劇でアクションもさることながら、カウボーイの実態をリアルに描いている。たとえばケンカのシーンでも、カウボーイは手を大事にするので手で殴ったりせず、フライパンで一撃する。
 一口にカウボーイと言っても、その働き方はさまざまなようで、チャールトン・ヘストン演じるウィル・ペニーは季節労働者だ。冬が来る前に牛の群れの移動を終えたら、厳しい冬をしのぐために次の仕事を探さねばならない。腕のいい彼はすぐに牧場を紹介してもらえたが、若者から頼まれると譲ってしまうお人好しでもある。共に働いていたダッチー、ブルーと旅をするが、途中でならず者一家とトラブルになる。ウィルは一人を撃ち殺すが、ダッチーも撃たれてしまう。ダッチーを医者に見せるために寄った町で母親と息子の親子連れに会う。ジョーン・ハケット演じる母親のキャサリンは清楚そのものの美人で、ウィルは一目見るなり、その美しさに目を奪われるが、彼のみならず、こちらもハッとするほどの美人だ。ウィルはここでも人の好さを出し、一人で50人の先住民と戦い、負傷者したとダッチーがキャサリンに言う噓にも口調を合わせてやる。おかげでキャサリンには軽べつされるが。
 ウィルはこの親子と再会するも、復習に燃えるならず者一家にも見つかってしまう。ほのぼのとしたシーンに突然ならず者一家が現れるギャップが激しい。それでもウィルは最後まで人の好さとダンディズムを貫く。「シェーン」をほうふつさせるラストシーンがもの悲しい。

ナバロンの要塞

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  • 鑑賞日 2025/02/12
  • 登録日 2025/02/16 
  • 評点 80点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/字幕 
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グレゴリー・ペックの格

 上映時間158分の戦争アクション大作で出演陣が豪華だ。主人公の英軍マロリー大尉にグレゴリー・ペック、階級は伍長ながら科学者のミラーにデビッド・ニーブン、元ギリシャ軍大佐アンドレアにアンソニー・クインという顔ぶれだ。当時45歳のペックが6歳上のニーブンや1歳上のクインを従えることになるのは、俳優の格だろうか。アメリカ人のペックのフランクさはイギリス人に見えないが。
 エーゲ海に浮かぶナバロン島にあるドイツ軍の要塞は難攻不落で、断崖絶壁に据えられた巨大大砲二門がイギリス軍の戦艦を寄せつけない。イギリス軍兵士2,000人を救うためにも、この要塞を破壊しなければならない。そこで6名の決死隊が選ばれ、島に上陸し、要塞を爆破する作戦の任に当たる。メンバーは先述の3名に、ナイフの名人ブラウン、ナバロン島出身のパパディモスが加わり、マロリーとは旧知のフランクリン少佐が指揮を執る。
 見どころ満載で、息もつかせないアクションシーンが続く。6人は漁師に扮し、木造のちっぽけな漁船で島に向かう。途中でドイツ軍のパトロール船に見つかり、いきなり銃撃戦が始まる。嵐の中、漁船の木っ端微塵寸前に島に上陸する。元登山家だったマロリーを先頭に断崖絶壁をよじ登っていく。すぐ後にアンドレアが続くが、実は二人は因縁の仲で、アンドレアはマロリーに殺意を持っているので、殺そうと思えば殺せる状況になり、スリリングだ。滑落したフランクリンが骨折して歩けなくなったため、マロリーが指揮を執ることになる。ただ彼に不満を持つ者もいる。
 要塞付近で二人の男装のレジスタンスに遭遇する。これまで女性は一切登場しなかったので意外だったが、映画的には戦争映画に女性が加わることで色々な面で変化が生じる。その分、見せ場も増える。作戦成功のためには敵をあざむく前に味方をあざむく。マロリーはその冷徹さも持ち合わせている。
 今ではなかなかお目にかかれない勧善懲悪だが、戦後16年という時代だからこそ許されたのだろう。

ミツバチのささやき

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  • 鑑賞日 2025/02/12
  • 登録日 2025/02/16 
  • 評点 83点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/字幕 
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アナ・トレントの可憐さ

 日本での公開は1985年だが、作成されたのは1973年で、作品の時代背景は1940年だ。この時代背景に目を向けないと本作を深く知ることはできないだろう。1940年はスペイン内戦直後でフランコ総統の独裁が始まる年で、1973年は独裁政権末期だ。厳しい検閲をかいくぐっての作品だから、独裁政権批判を作品から読み取ることは難しいが、微妙な表現がうかがえる。
 小さな村で映画の上映会が行われる。怪奇映画の「フランケンシュタイン」で、子供たちは皆、こわごわ観ている。その中にイサベルとアナの幼い姉妹もいる。フランケンシュタインは実は精霊で、村のはずれの空家に住んでいると姉から教えられ、翌日二人は学校の帰りに行ってみる。
 姉妹の父親は養蜂家で、巣箱のようすを記録する学究肌を持つ。娘たちと森に行き、毒キノコの見分け方を教えたりもする。母親は誰に書いているのか、手紙をしたためては、駅に停車中の列車に投函する。家には家政婦がいるから裕福なのだろう。暮らし向きは良さそうだ。
 単調にも見える日常だが、姉妹は線路に耳を当て、迫ってくる列車の音を聞いたり、姉が死んだふりをして妹を驚かせたりと、毎日が冒険でもある。列車から飛び降りてケガをした男が空家に住み着き、それを発見した妹が、夜中にこっそりとベッドを抜け出し、男の傷の手当てをし、食べ物や父親の衣服を与えたりする。アナの目には男が精霊に見えたのだろうか。
 しかしアナの行動は父親の知るところとなり、父親に詰問された彼女は家出をしてしまう。その夜、森の中に身をひそめたアナの前に、映画で観たフランケンシュタインが現れる。ここで本作はファンタジーだったのかと思わせられるが、そうとも言い切れない。ファンタジーと思わせておいて、もっと言いたかったことがあるのではないか。
 アナを演じた当時7歳のアナ・トレントの可憐さ自体もファンタジーだ。

15時17分、パリ行き

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  • 鑑賞日 2025/02/10
  • 登録日 2025/02/13 
  • 評点 83点 
鑑賞方法 テレビ/無料放送/NHK BSプレミアム 
3D/字幕 -/字幕 
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イーストウッドの尽きぬアイデア

 イーストウッド監督の尽きないアイデアに驚くばかりだ。これまでも「ハドソン川の軌跡」等実際に起きた事件を題材にした作品で、実際のニュースフィルムを流したりしたことはあったが、本作では事件の当事者らを出演させている。これはかなりの冒険で、一歩間違えれば大失敗作になってしまう。ところがしろうと達が違和感もなく、ごく自然に演じている。
 2015年8月21日、15時17分アムステルダム発パリ行きの国際特急の車内でテロ事件が起きる。武装したテロリストは乗客に銃を向け、一人が撃たれ、血まみれとなる。その場にいあわせた3人のアメリカの若者が協力して犯人を取り押さえ、銃撃を受けた男性の救助にあたる。
 事件はあっという間に始まり、あっという間に終る。しかしイーストウッドのすごいところは映画をそれだけで終わらせないところだ。時計の針を巻き戻し、3人の少年時代に触れる。3人とも問題児で学校でもやっかい者だ。呼び出された母親が、シングルマザーの子供だからと偏見を持つ担任教師に捨てぜりふを吐いて席を立つ姿が頼もしい。さすが多様性に富んだアメリカだ。
 成人した彼らは休暇を利用してヨーロッパ旅行を楽しむ。小学生時代と変わらぬ友情を持ち続けていることがすばらしい。この旅行のシーンは観光地の紹介やナイトパーティーでのバカ騒ぎ等、冗長に感じないでもないが、彼らがどのようなルートをたどってアムステルダムに行き、そこから15時17分発パリ行きの列車に乗ったか、その必然性を探る上では欠かせないものになっている。
 映画的には事件を忠実に再現しただけでは30分もかからないだろうから、映画にならない。3人の生い立ちを知ることで、彼らだからこそ事件を解決できたということが理解できる。さらには被害者も含め、主要登場人物を実際の当事者に演じさせることで、この事件の恐ろしさと3人の偉業がリアルに伝わる。
 イーストウッドの手腕に改めて敬意を表したい。